賃貸マンションやアパートで、ある日突然シーリングライトが切れたら、本当に困ってしまいますよね。
自分で交換してもいいものか、それとも管理会社に連絡すべきか、いったいどうすればいいのか迷うものです。特に、交換費用は誰が負担するのか、簡単な電球交換だけで済むのか、それとも照明器具ごと替える必要があるのかは大きな問題です。
交換のやり方や簡単な外し方も分からなければ、そもそも照明が交換できないタイプだったらどうしよう、と不安になるかもしれません。また、退去時に求められる原状回復はどうなるのか、せっかくならおしゃれな照明にしたいけれど可能なのか、といった疑問も次々と湧いてくるでしょう。
この記事では、賃貸物件で照明がついてないケースも含め、これらのあらゆる疑問に分かりやすくお答えしていきます。
この記事で分かること
- 賃貸の照明が切れた時に取るべき正しい行動
- 電球や照明器具の交換に関する費用負担のルール
- 自分で安全に照明を交換するための具体的な手順
- 退去時に慌てないための原状回復に関する知識
賃貸のシーリングライトが切れた際の初期対応

元々あった照明が切れた場合の基本
賃貸物件に最初から設置されているシーリングライトは、大家さん(貸主)の所有物です。これは「設備」として扱われ、部屋と一緒に借りているもの、と考えると分かりやすいでしょう。このため、照明が切れたからといって、自分の判断で勝手に処分したり、別のものに交換したりすることは原則としてできません。
ただし、切れた原因が「電球」なのか「照明器具本体」なのかによって、対応が少し異なります。
電球と照明器具本体の違い
電球や蛍光灯:これらは「消耗品」と見なされます。日常生活の中で使用することで消耗していくため、交換の必要が出た場合は、原則として入居者が費用を負担して交換します。
照明器具本体:こちらは「設備」です。経年劣化など、入居者の責任ではない理由で故障した場合は、大家さんが修理や交換の費用を負担するのが一般的です。
このように、まずは電球が切れただけなのか、それとも器具自体が壊れてしまったのかを見極めることが、最初のステップになります。
交換費用は誰が負担するのか解説

賃貸物件で照明が切れた際、多くの方が最も頭を悩ませるのが「この交換費用は、いったい誰が負担するのか?」という問題でしょう。結論から言うと、費用負担者は故障の「原因」と「場所」、そしてそれが「消耗品」か「設備」かによって明確に決まります。
このルールは、国土交通省が定める「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」でも示されており、賃貸トラブルを防ぐための基本的な考え方となっています。
費用負担の基本原則
貸主(大家さん)負担となるもの
建物や設備の経年劣化、通常の使用による損耗(通常損耗)。例えば、長年使用したことによる照明器具本体の故障などがこれにあたります。
借主(入居者)負担となるもの
故意・過失や、通常とは言えない使用方法によって生じた損耗。また、電球などの消耗品の交換費用も含まれます。
この原則を基に、具体的なケースごとの費用負担者を以下の表で詳しく見ていきましょう。
発生した状況 | 費用負担者 | 理由と具体的な解説 |
---|---|---|
電球・蛍光灯の寿命による球切れ | 入居者 | 電球や蛍光灯は、テレビのリモコンの電池などと同じ「消耗品」と見なされます。日常生活での通常の使用によって消耗していくため、寿命で切れた場合の交換費用は入居者の負担となるのが一般的です。 |
照明器具本体の経年劣化による故障 | 大家さん・管理会社 | 照明器具本体は「設備」の一部です。入居者の責任ではない、長年の使用による内部の安定器の故障や配線の劣化などが原因で点灯しなくなった場合、その修繕義務は大家さんにあります。 |
入居してすぐの球切れ・故障 | 大家さん・管理会社(が一般的) | 入居後1週間~1ヶ月以内など、ごく短期間で発生した不具合は、前の入居者から引き継がれた消耗や、元々の設備の不備と考えられるため、大家さん側で交換費用を負担してくれる可能性が非常に高いです。 |
入居者の過失や不注意による破損 | 入居者 | 掃除中に物をぶつけてカバーを割ってしまった、適合しないワット数の電球を使用して器具をショートさせたなど、明らかに善管注意義務に反する使用方法で破損させた場合は、入居者の責任となり修繕費用を負担します。 |
共用部(廊下・階段など)の照明切れ | 大家さん・管理会社 | 廊下やエントランスなどの共用部分は、入居者が毎月支払う「共益費」や「管理費」によって維持管理されています。そのため、共用部の照明が切れた場合は大家さんの責任範囲となり、入居者が費用を負担することはありません。 |
特に「入居してすぐ」の不具合は、遠慮せずにすぐに管理会社や大家さんに連絡することが重要です。「これくらい自分で」と考えてしまうと、本来は負担する必要のない費用を支払うことになりかねません。不具合に気づいた日付と状況をメモし、速やかに報告しましょう。
まず大家さんへ連絡?どうすればいい?

シーリングライトが点灯しなくなった場合、自己判断で行動する前に、まずは管理会社や大家さんに連絡するのが最も安全で確実な方法です。
前述の通り、照明器具は大家さんの所有物(設備)であるため、無断で交換や修理を行うと、後々トラブルに発展する可能性があります。例えば、良かれと思って新しい器具に交換しても、退去時に「元の物に戻してください」と言われ、保管していなかったために弁償しなくてはならない、といったケースです。
「ちょっと電球を替えるだけ」と思っていても、実は器具本体の故障かもしれません。感電や火災のリスクを避けるためにも、まずはプロである管理会社や大家さんに状況を伝え、指示を仰ぐのが鉄則ですよ。
連絡する際は、以下の情報を伝えるとスムーズです。
- どの部屋の照明か
- いつから点灯しないのか
- スイッチを入れた時の状態(全く反応がない、チカチカする、異音がするなど)
- 試したこと(電球を交換してみた、など)
これらの情報を基に、管理会社や大家さんが電球交換で済むのか、業者の手配が必要なのかを判断してくれます。
まず最初は大家さんに連絡を!
照明を自分で交換してもいいか確認
「大家さんへの連絡が基本」と解説しましたが、自分で交換できるケースもあります。それはどのような場合でしょうか。
まず、電球や蛍光灯の交換は、基本的に入居者が自分で行って問題ありません。これは、前述の通り消耗品の交換にあたるためです。ただし、照明器具本体の交換となると話は別です。
器具本体を交換したい場合は、必ず事前に管理会社や大家さんの許可を得る必要があります。賃貸借契約書の中に、設備に関する取り決めが記載されているはずなので、まずは内容を確認しましょう。「設備の無断変更禁止」といった条項があれば、それに従う必要があります。
許可を得て交換する場合の注意点
もし大家さんから照明器具の交換許可が出た場合でも、元々設置されていた照明器具は絶対に捨てないでください。退去時には原状回復の義務があるため、取り外した元の器具に戻して退去するのが原則です。破損しないよう、大切に保管しておきましょう。
デザインが古い、もっと明るいものにしたい、といった理由で交換を希望する場合は、まず相談してみる価値はありますが、許可なく進めることだけは避けましょう。
照明が交換できないタイプもあるので注意

賃貸物件の照明は、すべてが簡単に交換できるわけではありません。中には、専門的な知識や資格がないと取り扱えないタイプも存在します。
直付けタイプの照明
天井の配線器具(引掛シーリング)を使わず、照明器具から出ている電線を天井の配線に直接接続するタイプです。この配線工事は「電気工事士」の資格がなければ行うことができず、無資格者が作業すると法律違反になるだけでなく、感電や火災の危険性が非常に高くなります。見た目で判断が難しい場合も多いため、カバーを外してみて引掛シーリングが見当たらなければ、専門業者による作業が必要だと考えましょう。
特殊な天井に設置されている照明
例えば、以下のような天井は注意が必要です。
- 勾配天井:天井が斜めになっている場合、対応する専用の器具や部品でないと、重みで落下する危険があります。
- 竿縁天井:和室によく見られる、細い木が渡してある天井です。取り付けられる照明の形状や重さに制限があります。
- 吹き抜けなどの高所:脚立を使っても手が届かないような高い場所にある照明は、交換作業自体が非常に危険です。無理せず専門業者に依頼すべきです。
一般的に、ご自身で交換可能なのは「引掛シーリング」という配線器具が天井に設置されている場合です。角型や丸型などいくつか形状がありますが、これがあれば対応する照明器具を工事不要で取り付けられます。
自分の部屋の天井がどのタイプか分からない場合は、やはり管理会社や大家さんに確認するのが最も安全です。自分でできるかどうかの詳しいケースは以下を参考に。
賃貸のシーリングライトが切れた際の交換と注意点

まずは電球交換で直るか試そう
照明器具本体の故障を疑う前に、まずは電球を新しいものに交換してみましょう。「点かない」原因の多くは、単純な電球の寿命切れです。
器具本体の交換は費用も手間もかかりますが、電球交換なら数百円から数千円で済み、ご自身で簡単に行えます。
電球を交換する際は、以下の点を確認してください。
電球の選び方
- 口金サイズ:電球の根元の金属部分のサイズです。「E26」「E17」などが一般的で、サイズが合わないと取り付けられません。
- ワット(W)数・ルーメン(lm):照明器具には「60Wまで」といった上限が定められている場合があります。これを超えると火災の原因になるため、必ず確認しましょう。LED電球の場合は、明るさの目安であるルーメン(lm)を参考にします。
- 電球の色:主に「昼光色(青白い光)」「昼白色(自然な光)」「電球色(暖かみのあるオレンジの光)」の3種類があります。部屋の用途や好みに合わせて選びましょう。
交換作業の安全注意
電球交換を行う際は、必ず照明のスイッチを切り、できればブレーカーも落としてから作業してください。また、交換直後の電球は非常に熱くなっていることがあるため、少し時間をおいて冷めてから触るようにしましょう。火傷や感電を防ぐために、安全第一で作業することが重要です。
照明の交換のやり方と簡単な外し方
天井に「引掛シーリング」が設置されていれば、照明器具の交換はご自身でも比較的簡単に行えます。ここでは、一般的な丸型シーリングライトの交換手順を解説します。
Step 1: 古い照明器具の取り外し
- 安全のため、照明のスイッチを切り、ブレーカーを落とします。
- 脚立など安定した足場を用意します。
- シーリングライトのカバーを外します。多くは反時計回りに少し回すと外れるタイプです。
- カバーを外すと、本体と天井をつなぐコネクタが見えます。コネクタのボタンを押しながら引き抜きます。
- 本体を固定しているアダプターを、ロック解除ボタンを押しながら反時計回りに回して取り外します。
Step 2: 新しい照明器具の取り付け
- 新しい照明器具に付属しているアダプターを、天井の引掛シーリングに「カチッ」と音がするまで押し込み、時計回りに回して固定します。
- 照明器具本体をアダプターに押し当て、さらに時計回りに回してしっかりと固定します。
- 本体から出ているコネクタを、アダプターの接続部分に差し込みます。
- カバーを取り付け、ブレーカーを上げてスイッチを入れ、無事に点灯するか確認します。
製品によって細かい手順は異なりますので、必ず新しい照明器具の取扱説明書をよく読んでから作業してください。また、照明器具は意外と重さがあるものも多いので、落とさないよう十分に注意しましょう。
交換するならおしゃれな照明も選択肢
大家さんから交換の許可が下りれば、照明はお部屋の雰囲気を劇的に変えることができる絶好のインテリアアイテムになります。
備え付けのシンプルなシーリングライトから、自分の好みに合ったおしゃれな照明に替えることで、暮らしの質がぐっと向上するかもしれません。
賃貸でも取り入れやすい照明には、以下のような種類があります。
照明の種類と特徴
- シーリングライト:天井に直接取り付けるタイプ。部屋全体を均一に明るく照らすことができ、リビングや寝室など、どんな部屋にもマッチします。最近では、スマートフォンで明るさや色を調整できる「スマートLED電球」対応のものも人気です。
- ペンダントライト:コードやチェーンで天井から吊り下げるタイプ。デザイン性が高く、ダイニングテーブルの上や部屋のアクセントとして使うとおしゃれな空間を演出できます。
- スポットライト:複数のライトがついており、それぞれ角度を調整できるタイプ。壁に飾った絵や観葉植物を照らしたり、部屋に立体感を出したりするのに適しています。
自分のライフスタイルや目指す部屋のテイストに合わせて照明を選ぶ時間は、とても楽しいものです。
ただし、デザインだけで選ばず、部屋の広さに合った明るさが確保できるか、天井の配線器具や耐荷重に適合しているかもしっかり確認しましょう。
入居時に照明がついてない場合
内見時には気づかなかったけれど、入居してみたら部屋に照明器具がついていなかった、というケースも稀にあります。これは、必ずしも大家さんや管理会社のミスというわけではありません。
物件によっては、照明器具は入居者が自分で用意するもの、とされている場合があります。これは、デザインや明るさなど、入居者の好みが分かれるため、あえて設置していないという理由からです。
まず確認すべきは「重要事項説明書」や「賃貸借契約書」です。設備一覧の項目に「照明器具」の記載があれば、それは大家さんが設置する義務があります。もし記載がない場合は、残念ながら自分で購入して設置する必要があります。
自分で照明を選ぶ際のチェックポイント
- 天井の配線器具:引掛シーリングか、直付けかを確認します。
- 部屋の広さ:「6畳用」「8畳用」など、部屋の広さに合った明るさのものを選びましょう。
- 天井の耐荷重:特に重さのあるデザイン性の高い照明を選ぶ際は、天井の配線器具が重さに耐えられるか確認が必要です(引掛シーリングは約5kg、ローゼットは約10kgが目安)。
照明がついていない場合は、自分の好きなものを選べるチャンスと捉え、お部屋づくりを楽しんでみるのも良いかもしれません。
退去時に必要な原状回復とは?

賃貸物件から退去する際には、入居者には「原状回復」の義務があります。これは、「借りた時の状態に戻して返す」という賃貸契約の基本的なルールです。
照明器具に関して、原状回復は以下のように考えます。
- 自分で器具を交換した場合:必ず、入居時に設置されていた元の照明器具に戻してから退去しなければなりません。保管しておいた元の器具を再度取り付けます。もし、新しく取り付けた照明を次の入居者のために置いていきたい(残置したい)場合は、必ず大家さんの許可が必要です。無断で置いていくと、処分費用を請求される可能性があります。
- 電球が切れたまま退去する場合:退去時にたまたま電球が切れていても、入居者が新しいものに交換する必要はありません。電球は消耗品であり、その寿命は通常の使用による経年劣化と見なされるため、費用は大家さん負担で交換されるのが一般的です。
ちなみに、備え付けのシーリングライトを長期間使っていると、天井に「照明焼け」と呼ばれる黒ずみができることがあります。これも通常の使用による経年劣化と判断されることがほとんどで、入居者が修繕費用を負担する必要はないとされています。ただし、契約内容による場合もあるので、気になる場合は確認しておくと安心ですね。
原状回復をめぐるトラブルは少なくありません。特に自分で設備に変更を加えた場合は、退去時のルールをしっかり理解しておくことが大切です。
賃貸でシーリングライトが切れた際の総まとめ
この記事では、賃貸物件でシーリングライトが切れてしまった際の対処法から費用負担、交換方法、注意点までを網羅的に解説しました。最後に、重要なポイントをリストで振り返ってみましょう。