天井に埋め込まれた一体型ダウンライトを、おしゃれなペンダントライトに交換したいと考えていませんか。
「一体型ダウンライトをペンダントライトに」と検索したものの、そもそも交換できるのか、DIYでの変換は可能なのか、疑問に思う方も多いでしょう。賃貸物件の場合、引っ掛けシーリングに変更できるかも気になります。
また、一体型を選んで後悔したという声や交換はやめておけという意見もあり、不安になるかもしれません。
シーリングライトへのDIY変換や、横向きのライトへの対応、実際の交換費用など、知りたい情報は多岐にわたります。この記事では、そうした疑問や不安を解消し、一体型ダウンライトをペンダントライトなど他の照明に変更するための具体的な方法、注意点、費用の目安について詳しく解説します。
一体型ダウンライトをペンダントライトにする方法とは

一体型ダウンライトとは?基礎知識
一体型ダウンライトとは、照明器具本体と光源(LEDなど)が一体となっている、天井埋め込み型の照明器具を指します。

天井面がフラットに仕上がり、空間をスッキリと見せることができるため、新築住宅やリノベーションで広く採用されています。
このタイプの照明は、電球だけを取り外して交換できる「交換型(分離型)ダウンライト」とは根本的に異なります。一体型の場合、光源の寿命が尽きたとき、つまり電球が切れた際は、照明器具全体を天井から取り外して交換する必要があります。設計上の寿命は長いものが多いですが、交換時には電気工事が伴う可能性がある点が最大の特徴です。
やめておけ?後悔する理由
「一体型ダウンライトはやめておけ」という意見や、設置後に後悔するケースがあるのは、主にその交換方法とデザインの制約に理由があります。
最大の理由は、前述の通り、光源が切れた際の交換の手間とコストです。電球だけを自分で交換できる交換型と違い、器具ごと交換するには電気工事士の資格が必要な作業となることがほとんどです。業者に依頼する必要があるため、費用も手間もかかります。
また、一度設置すると、照明のデザインを気軽に変更できない点も後悔の理由として挙げられます。天井に埋め込まれているため、部屋の模様替えやインテリアの好みが変わった際に、ペンダントライトやシーリングライトのように簡単に器具を変更できません。このデザインの自由度の低さが、長期的な視点で見るとデメリットと感じられることがあります。
そもそも交換はできる?やめておくべき?
一体型ダウンライトをペンダントライトや他の照明器具に交換することは、結論から言えば可能です。ただし、いくつかの条件や制約が伴います。
交換が可能かどうかは、現在のダウンライトの設置状況や、天井裏の状態によって決まります。例えば、既存のダウンライトの穴の大きさ、天井裏のスペース(懐)の深さ、配線の状態、梁(はり)などの構造物の位置などが影響します。
交換作業は、既存の器具を取り外し、新しい照明(この場合はペンダントライト用の引っ掛けシーリングなど)を設置するための電気配線作業を含むため、電気工事士の資格が必須です。資格を持たない人が安易に作業を行うと、火災や感電の危険があり、法律にも触れます。
「できる?」という疑問に対しては「専門業者であれば可能」というのが答えですが、状況によっては天井の補修や補強など、予想以上に大掛かりな工事になる可能性もあります。
そのため、まずは専門業者に現地調査を依頼し、どのような方法が可能か、費用はどれくらいかを見積もってもらうことが不可欠です。その結果、費用対効果を考えて「やめておく」という判断が必要になる場合もあります。
賃貸で引っ掛けシーリングに変更は可能か
賃貸物件にお住まいの場合、一体型ダウンライトを引っ掛けシーリングに変更するには、必ず管理会社または大家さんの許可が必要です。
天井に穴を開けたり、配線を変更したりする作業は、建物の構造に関わる「造作変更」にあたります。
原状回復とは、アパートなど賃貸住宅の賃貸借契約が終了して借主(賃借人)が退去する際に、借りた部屋を「本来あるべき状態」、つまり入居時の状態に戻して貸主(賃貸人)に返す義務のことです。
スーモより引用
賃貸契約では、退去時に部屋を入居時の状態に戻す「原状回復義務」が定められていることが一般的です。無断で工事を行えば、契約違反となり、高額な修繕費用を請求されるなどの深刻なトラブルに発展する可能性があります。
まずは賃貸借契約書を確認し、内装の変更に関する条項をチェックしてください。その上で、管理会社や大家さんに「ペンダントライトを取り付けたいため、既存のダウンライトを引っ掛けシーリングに変更したい」と具体的に相談しましょう。
許可が得られた場合でも、「退去時には必ず元のダウンライトの状態に戻すこと」を条件とされるケースがほとんどです。その際の工事費用も自己負担となるため、入居中と退去時の2回分の工事費用を考慮した上で判断することが求められます。
交換にかかる費用の目安は?
一体型ダウンライトを交換する費用は、どのような照明に、どのような方法で交換するかによって大きく変動します。あくまで目安ですが、主なケースの費用感を紹介します。
工事内容 | 費用の目安(1箇所あたり) | 備考 |
ダウンライトの単純交換 | 器具代金 + 5,000円~15,000円 | 器具の種類や作業難易度による |
引っ掛けシーリング新設 | 10,000円~30,000円 | 天井の補修・補強が必要な場合は追加費用 |
これはあくまで一般的な目安です。天井裏の状況や、既存の穴の大きさ、配線の延長が必要かどうか、依頼する業者の料金設定によって金額は変わります。
電気工事士による器具交換
既存の一体型ダウンライトを、新しいダウンライト(交換型や別の一体型)に単純に入れ替える場合の費用です。器具本体の代金に加えて、既存器具の取り外しと新しい器具の取り付け工事費がかかります。
引っ掛けシーリングの新設
ペンダントライトやシーリングライトを取り付けるために、引っ掛けシーリングを新設する場合の費用です。ダウンライトを取り外した後の穴の処理(場合によっては天井の補修)や、配線作業、シーリング本体の取り付け作業が含まれます。
費用を正確に知るためには、必ず複数の電気工事業者やリフォーム会社に現地調査を依頼し、相見積もりを取るようにしてください。その際、工事内容の内訳(どの作業にいくらかかるのか)を明確にしてもらうことが大切です。
一体型ダウンライトをペンダントライトにする具体策

DIYで変換?シーリングライトへの変更
「DIYでどうにか変換できないか」「シーリングライトに自分で変更したい」と考える方もいるかもしれませんが、電気工事士の資格をお持ちでない限り、一体型ダウンライトの変換作業をDIYで行うことはできません。
理由は、この作業が「電気工事」に該当するためです。
照明は、部屋の雰囲気を大きく左右する重要な要素です。ただし、照明の取り付けには電気工事が必要な場合があり、その工事は有資格者でなければ作業できません。
TOMOseeより引用
一体型ダウンライトの取り外しや、引っ掛けシーリング、シーリングライト、ペンダントライトの取り付けに伴う配線作業は、法律(電気工事士法)により、有資格者でなければ行ってはならないと定められています。無資格での作業は、漏電や火災、感電といった重大な事故を引き起こす危険性が高く、罰則の対象にもなります。
インターネット上では、電球ソケット(E26口金など)に差し込むだけで引っ掛けシーリングとして使える「変換アダプタ」の情報が見つかることがあります。しかし、これらは「交換型」ダウンライト、つまり電球が取り外せるタイプの器具を対象とした製品がほとんどです。
一体型ダウンライトは器具そのものが天井と配線に直結されているため、まずは器具本体を取り外す作業が必須となります。この時点で電気工事士の資格が必要となるため、DIYでの対応は不可能と考えてください。安全と法律遵守のため、必ず専門業者に依頼しましょう。
スポットライトへの変換方法
ペンダントライトだけでなくスポットライトへの変換も人気の高い方法です。この場合、最も一般的なのは「ライティングレール(ダクトレール)」を天井に設置する手法です。
手順としては、まず既存の一体型ダウンライトを取り外します(この作業も電気工事です)。そして、ダウンライトがあった位置の配線を利用して、天井面にライティングレールを取り付けます。レールの長さや設置場所は、天井の下地の状況や部屋のデザインに応じて決定します。
ライティングレールを設置する大きなメリットは、照明の自由度が飛躍的に高まることです。
- 複数の照明を設置可能: 1本のレール上に、複数のスポットライトを取り付け、光の向きや位置を自由に調整できます。
- 器具の交換が容易: レールに対応した器具であれば、工具不要で簡単に着脱できます。スポットライトだけでなく、レール用のアダプタ(プラグ)を使えばペンダントライトも吊り下げることが可能です。
この方法も、レールの設置には電気工事が必要となるため、専門業者への依頼が前提となります。ダウンライトの穴を隠しつつレールを設置する専用のプレートなども市販されており、業者と相談しながら最適な方法を選ぶとよいでしょう。
横向きダウンライトの注意点
ダウンライトは天井だけでなく、壁面や傾斜天井に「横向き」または「斜め向き」に設置されているケースもあります。このような特殊な位置にあるダウンライトの交換には、天井面への設置以上に注意が必要です。
最大の注意点は、ペンダントライトへの交換が非常に難しいことです。ペンダントライトは、その名の通り「吊り下げる(ペンダント)」ことを前提とした照明器具であり、重力に従って真下に垂れ下がります。壁面や斜めの面から吊り下げても、意図したデザインや配光にはならず、不自然な見た目になってしまいます。
したがって、横向きダウンライトの交換先として現実的な選択肢は、同じように壁面や斜め天井に対応した「スポットライト」や「ブラケットライト(壁掛け照明)」になります。
ただし、交換の際は、以下の点を確認する必要があります。
- 設置箇所の強度: 新しい照明器具の重量を、壁面や傾斜天井の下地が支えられるか。
- 器具の適合性: 取り付ける照明器具が、壁面や傾斜天井への設置に対応しているか(天井専用の器具は不可)。
- 配線の状況: 既存の配線をそのまま利用できるか。
これらの判断も専門的な知識を要するため、業者への相談が必須です。
ダウンライトカバーを後付けで隠す方法
「大掛かりな工事はしたくない」「賃貸で許可が下りなかった」「とりあえず穴だけ隠したい」という場合には、ダウンライトの穴を塞ぐ専用のカバー(プレート)を後付けで利用する方法があります。
これは、照明器具を交換するのではなく、既存のダウンライトを取り外した後の穴、あるいは使用停止にしたダウンライトの上から被せて隠すための化粧板(「シーリングプレート」「メクラ蓋」などとも呼ばれます)です。
メリット
- 低コスト: 電気工事が不要な場合(※)、比較的安価に設置できます。
- 現状回復が容易: 天井を大きく傷つけずに穴を隠せるため、賃貸物件でも(許可を取った上で)採用しやすい場合があります。
デメリットと注意点
- 照明機能はなくなる: あくまで「蓋」であるため、その場所の明かりは失われます。
- 器具の取り外し: ダウンライト器具本体を取り外す作業は、前述の通り電気工事士の資格が必要です。器具を残したまま上から被せるタイプのカバーもありますが、放熱の問題や見た目の納まりを考慮する必要があります。
- 明るさの確保: その場所の照明がなくなるため、部屋全体の明るさが不足しないか確認が必要です。フロアライトやテーブルランプなど、他の照明で明るさを補う計画が求められます。
この方法は、照明計画全体の見直しとセットで考えるべき選択肢と言えます。
交換前に確認すべき天井の状況
一体型ダウンライトの交換工事がスムーズに進むか、あるいはそもそも可能かどうかは、普段は見えない「天井裏」の状況に大きく左右されます。専門業者が現地調査を行う際、主に以下の点を確認します。
1. 天井裏のスペース(懐)
天井板と、その上の階の床(または屋根)との間の空間を「懐(ふところ)」と呼びます。引っ掛けシーリングや新しい照明器具を設置するためには、この懐に一定の深さ(高さ)と広さが必要です。スペースが極端に狭い場合、設置できる器具が限られたり、作業が困難になったりします。
2. 構造物(梁・下地)の位置
照明を設置したい場所の真上に、建物の構造を支える梁(はり)や、天井板を支える下地材が通っている場合があります。これらの構造物は動かせないため、これを避けて器具を設置するか、設置位置をずらす必要があります。特にペンダントライトの場合、ある程度の重量を支える必要があるため、下地のある丈夫な場所に取り付けることが理想です。
3. 断熱材の状況
特に最上階の天井や、寒冷地の住宅では、天井裏に断熱材が敷き詰められています。ダウンライトが設置されている箇所は、断熱材施工に対応したSGI形、SG形、SB形といった器具が使われていることが多いです。新しい器具に交換する際も、この断熱材の状況を考慮した施工(断熱材対応器具の選定、または断熱材を適切に避ける施工)が必要となり、火災予防の観点から非常に重要です。
これらの状況は、天井の点検口からのぞき込んだり、場合によってはダウンライトを一度取り外したりして確認します。素人目での判断は困難であり、安全な工事のために専門家による正確な診断が不可欠です。
まとめ:一体型ダウンライトをペンダントライトに
一体型ダウンライトをペンダントライトに交換することは、多くの人が持つインテリアの希望ですが、実行にはいくつかのハードルがあります。最後に、この記事で解説した重要なポイントをまとめます。