シーリングライトやめたい人へ！おしゃれな多灯照明への完全ガイド

こんにちは。照明セレクション、運営者の「ミト」です。

最近、ふと天井を見上げて「シーリングライトをやめたい」と感じることはありませんか。部屋の真ん中に大きな円盤があるだけの風景になんだか飽きてしまったり、もっとおしゃれなカフェのような空間に憧れたりすることってありますよね。

でも、いざ交換しようと思うと「部屋が暗い印象になってしまわないか」や「賃貸だから工事ができない」といった不安がよぎって、なかなか一歩を踏み出せないという方も多いのではないでしょうか。

実は、ちょっとした工夫と選び方次第で、賃貸でも明るさをしっかり確保しながら理想の照明環境を作ることは十分に可能です。この記事ではそんなシーリングライトなしでの照明作りのサンプルをまとめました。

シーリングライトをやめたい時の代替案

長年親しんできたシーリングライトを手放すのは少し勇気がいりますよね。「本当に生活に支障はないの？」という疑問に対し、ここでは具体的におしゃれで快適な代替案と、それを実現するための基礎知識を私なりの視点でご紹介します。

シーリングライトの代わりと選び方

シーリングライトをやめたいと考えたとき、最初にぶつかる壁が「じゃあ、代わりに何を付ければいいの？」という点だと思います。これまでの「部屋全体を一台で照らす」という考え方から、「必要な場所に光を置く」というスタイル、つまり多灯分散照明（一室多灯）へシフトするのが正解だと私は思います。

多灯分散照明（一室多灯）とは何か

日本の住宅では長らく、部屋の中央に大きな照明を一つだけ設置する「一室一灯」が主流でした。これは効率よく部屋全体を明るくする点では優れていますが、どこか「のっぺり」とした平面的な印象になりがちです。

一方で、欧米のインテリアなどでよく見られる「多灯分散照明」は、ペンダントライト、スタンドライト、スポットライトなど、複数の小さな明かりを組み合わせて空間を作ります。

これにより、部屋に陰影（グラデーション）が生まれ、単に明るいだけでなく、奥行きのあるリラックスした雰囲気を演出できるのです。

最強の味方「ダクトレール」の導入

シーリングライトの代わりとして最もおすすめなのは、やはり「ダクトレール（ライティングレール）」を導入することですね。これ一本あれば、スポットライトやペンダントライトを好きな位置に複数吊るすことができます。

まるでカフェのような空間が手軽に作れますし、家具の配置換えに合わせて明かりの位置も変えられるので、模様替え好きの方にはたまらないアイテムです。

多灯分散照明のメリット
天井の中央だけでなく、部屋の隅や低い位置にも明かりを作ることで、空間に奥行きとリラックス感が生まれます。「影」を完全に消すのではなく、心地よい陰影を楽しむスタイルです。また、シーンに合わせて「食事の時はテーブルの上だけ」「映画を見る時はフロアライトだけ」といった使い分けができるのも大きな魅力です。

ダウンライト工事ができない場合の選択肢

持ち家でリノベーションが可能ならダウンライトを埋め込むのも素敵ですが、そうでない場合でも諦める必要はありません。天井照明をあえて「ゼロ」にして、背の高いフロアライトや、壁に取り付けるブラケットライト（コンセント式）だけで構成する方法もあります。

これは少し上級者向けですが、天井がすっきりとして開放感が抜群に高まります。「天井には必ず照明がなければならない」という思い込みを一度捨ててみると、アイデアの幅がぐっと広がりますよ。

リビングが暗いと感じない照明術

「おしゃれな照明にしたら、リビングが薄暗くて本も読めない…」なんて失敗は絶対に避けたいですよね。特に家族と暮らしている場合、「暗い」というクレームは死活問題です。暗いと感じさせないコツは、「光の重心を下げる」ことと「壁を照らす」ことにあります。

「光の重心」を下げるテクニック

人間が「落ち着く」と感じる空間は、重心が低い位置にあります。焚き火や夕日を想像してみてください。低い位置にある暖かい光は、本能的に安心感を与えてくれます。天井からの強い光（ダウンライトやシーリングライト）は活動的な昼間の太陽を連想させ、覚醒作用がありますが、夜のリラックスタイムには不向きなことも。

そこで、天井からの光だけに頼らず、フロアライトやスタンドライトをソファの横や部屋のコーナーに置いてみてください。

視線の高さ、あるいはそれより低い位置に明かりがあるだけで、体感的な明るさは確保しつつ、心理的に圧倒的な落ち着きを感じることができます。

壁面反射（バウンス効果）を活用する

部屋を明るく見せるためのプロのテクニックとして、「壁を照らす」という方法があります。スポットライトを使って壁やカーテン、部屋のコーナー部分に光を当ててみてください。これを「ウォールウォッシング」とも呼びますが、壁に当たった光が反射（バウンス）し、その反射光が部屋全体を柔らかく包み込みます。

壁面反射の魔法
白い壁紙や明るい色のカーテンに光を反射させると、その反射光が部屋全体を間接照明のように明るくします。光源が直接目に入らないため眩しさがなく、かつ空間の広がりを感じさせる効果があります。特に部屋の隅（コーナー）が暗いと部屋が狭く見えるため、ここをフロアライトなどで照らすのは非常に効果的です。

タスクライトとアンビエントライトの使い分け

リビングで読書や書き物をする場合、部屋全体の明るさを上げるのではなく、手元を照らす「タスクライト」を追加しましょう。ソファの横に読書灯を置いたり、テーブルの上にペンダントライトを低めに吊るしたりします。

全体の明るさ（アンビエント）は少し落としてリラックス感を出しつつ、作業に必要な場所だけ明るくする。このメリハリこそが、おしゃれで実用的なリビング照明の正解です。

寝室をおしゃれな空間に変える

寝室こそ、シーリングライトから卒業するのに最適な場所かもしれません。一日の疲れを癒やし、良質な睡眠への導入を行う場所において、頭上から降り注ぐ真っ白で強力な光は、正直なところ「邪魔」でしかありません。

光は体内時計に強く影響するため、夜間の強い光はメラトニンの分泌を抑制し、目を覚ましてしまう原因になります。

天井照明をなくすという選択

寝室では思い切って天井照明をなくし、テーブルランプとフロアライトだけで構成してみるのも一つの手です。ベッドサイドに低めの位置で温かい色の明かり（電球色、2700K〜3000K程度）を置くと、ホテルのような安らぎ空間が生まれます。

天井を見上げた時に眩しい光源が視界に入らないだけで、リラックス度は段違いに上がります。

グレア（眩しさ）のない器具選び

どうしても天井に照明（全般照明）が欲しい場合は、光源が直接目に入らないようなデザインを選びましょう。電球が剥き出しのものや、透明なガラスシェードは避け、布や乳白色のガラスで電球が覆われているタイプ、あるいは光が天井方向に向かうアッパーライト機能を持つものがおすすめです。

これなら、ベッドに横になっても直接光が目に入らず（グレアレス）、不快感を感じることなく過ごせます。

調光・調色機能の活用

最近では、スマートフォンやリモコンで明るさと色味を調整できる「スマート電球」も普及しています。これをテーブルランプにセットしておけば、就寝前の読書時間は少し明るく、眠くなったら徐々に暗くして消灯、といった操作が布団の中から可能です。

寝室の照明計画において、操作性の良さは快適さに直結する重要な要素です。

虫が寄らない照明環境の作り方

シーリングライトのカバーの中に虫が入ってしまって、掃除のたびに憂鬱になる…という経験、ありますよね。夏場の夜、窓を開けた瞬間に小さな虫が入り込み、真っ先にシーリングライトの周りを飛び回り、やがてカバーの中で力尽きる。あの黒い点々を見るのが嫌で、照明掃除がおっくうになっている方も多いはずです。

実はこれ、照明器具を変えることで劇的に改善できるんです。

LEDと紫外線の関係

そもそも、なぜ虫は照明に集まるのでしょうか。多くの昆虫は、光に含まれる「紫外線」に向かって飛ぶ習性（走行性）を持っています。従来の蛍光灯は微量の紫外線を発していましたが、一般的な家庭用LED照明は、虫が好む350nm付近の紫外線波長をほとんど出しません。

つまり、光源をLEDに変えるだけでも、虫が寄ってくるリスクは大幅に減らすことができます。

「カバー」という構造の欠点

シーリングライトの最大の弱点は、その構造にあります。お椀型のカバーと天井の隙間から虫が入り込むと、出られなくなってその場で死んでしまい、死骸が溜まっていくのです。これを防ぐには、そもそも「虫が溜まる場所」を作らないことが一番です。

シェードが開放されたペンダントライトや、電球そのものがデザインの一部となっているスポットライトであれば、仮に虫が寄ってきても、器具の中に死骸が溜まることはありません。掃除の際も、カバーを外すという手間がなく、サッと払うだけで済みます。「虫の墓場」を天井に吊るす生活とは、これでおさらばできます。

掃除が楽になる照明メンテナンス

多灯照明にすると「照明の数が増えるから、掃除する場所も増えて大変そう」と思われるかもしれませんが、実は逆の側面もあります。シーリングライトの場合、掃除をするには脚立を持ってきて、両手を上げて重いカバーを回して外し、中性洗剤で水洗いして乾かして、また取り付ける…という大掛かりな作業が年に一度は必要ですよね。

この「面倒くささ」が、掃除を先延ばしにする原因ではないでしょうか。

「ついで掃除」ができる気軽さ

一方で、ペンダントライトやフロアライトは手が届く範囲、あるいは視界に入る位置にあることが多いので、汚れに気づきやすいのが特徴です。日々の部屋の掃除のついでに、ハンディモップでサッとシェードの埃を払うだけで済みます。

ダクトレール上の高い位置にあるスポットライトも、最近の伸縮する高所用ハンディモップ（先端が曲がるタイプなど）を使えば、脚立なしで床に立ったまま綺麗にできます。「年末の大掃除のイベント」ではなく「日常のルーチン」に組み込めるので、常に綺麗な状態をキープしやすく、結果的に気持ち的にも楽かなと感じています。

素材によるお手入れの違い
ガラスやプラスチック製は水拭きOKですが、和紙や布製のシェードは水濡れ厳禁です。シミや破損の原因になるので、乾いたモップやブラシで優しく埃を落とすだけに留めましょう。

金属（真鍮など）は、水分や手脂が残ると変色（経年変化とも言えますが）の原因になるので、輝きを保ちたい場合は柔らかい布での乾拭きを基本にしましょう。

賃貸でシーリングライトをやめたいなら

「賃貸だから勝手なことはできない」「退去時の原状回復が怖い」と諦めている方へ。実は私も賃貸住まいですが、原状回復のルールをしっかり守りながら照明カスタムを楽しんでいます。

ここでは、壁や天井を傷つけずに、憧れの多灯照明を実現するための具体的なテクニックと注意点をお話しします。

賃貸でダクトレールを設置する手順

賃貸でダクトレールを導入するなら、「簡易取付式」と呼ばれるタイプ一択です。

これは、天井に元々ついている「引掛シーリング」や「ローゼット」という配線器具に取り付けるだけで固定できる優れものです。電気工事士の資格も不要で、誰でも購入してすぐに取り付けることができます。

取り付けの流れと仕組み

設置手順は驚くほど簡単です。基本的には以下の3ステップで完了します。

この仕組みにより、天井にネジ穴を開けることなく、突っ張り棒のような原理でしっかりと固定されます。当然、取り外しも簡単なので、引っ越しの際も持っていくことができます。

特に注意が必要なのは、「角型」や「丸型」の引掛シーリングの場合です。これらにはネジ止めのための金具（耳）が付いていないため、レール本体についている「安定板（アジャスター）」を天井に強く押し当てて固定するタイプの製品を選ぶ必要があります。

購入前に、必ず自宅の天井についている器具の形を写真に撮って確認し、適合する製品を選びましょう。

ペンダントライトの高さと配置

ダクトレールを設置したら、次はペンダントライトの配置です。「どのくらいの高さに吊るせばいいの？」というのはよくある悩みですが、ここでのポイントは、思い切って「低く吊るす」ことです。

ダイニングにおける黄金比

ダイニングテーブルの上に吊るす場合、テーブルの天板から60cm〜80cmくらいの高さにシェードの下端が来るように調整してみてください。

シーリングライトの感覚だと「低すぎて頭をぶつけそう」「視界の邪魔になるのでは」と不安になるかもしれませんが、実際に座ってみると、この高さが絶妙であることに気づくはずです。

テーブルの中心に低く吊るすことで、光の範囲がテーブル面に限定され、料理がスポットライトを浴びたように立体的に美味しく見えます。また、光の傘の下にいる安心感が生まれ、食卓を囲む人たちの距離がぐっと縮まるような親密な空間（Intimacy）が演出できるのです。

多灯吊りのバランス

テーブルが長方形で大きめ（幅140cm以上など）の場合は、小さめのペンダントライトを2〜3灯並べて吊るすのも素敵です。この場合、器具同士の間隔を均等にするのが基本ですが、テーブルの端から少し内側に入るように配置するとバランス良く見えます。

コードリールを使ったり、コードの長さを調節できるパーツがついた照明を選んだりして、微調整しながらベストな位置を探るプロセスも楽しんでください。

スポットライトで広さを演出する

ダクトレールには、ペンダントライトだけでなくスポットライトも組み合わせるのがおすすめです。ペンダントライトだけではどうしても部屋全体が暗くなりがちですが、スポットライトを追加することで、機能的な明るさと空間の広がりを同時に手に入れることができます。

視線誘導と空間の拡張

スポットライトの役割は、ずばり「視線誘導」と「明るさの底上げ」です。人間の目は、明るい場所に自然と視線が向きます。部屋の奥の壁や、お気に入りのポスター、観葉植物などにスポットライトを当ててみてください。視線が部屋の奥まで抜けるようになり、結果として部屋全体が広く感じられます。

逆に、見せたくない場所（散らかりがちな棚など）はあえて照らさないことで、存在感を消すこともできます。光と影をコントロールすることで、部屋の印象を自在に操ることができるのです。

ベース照明としての役割

もちろん、壁や物を照らすだけでなく、単純に明るさを確保するための「ベース照明」としてもスポットライトは優秀です。天井や壁に向けて光を拡散させるタイプの電球（広配光タイプ）を使えば、シーリングライトに近い全体照明のような使い方も可能です。

メインのペンダントライトだけでは手元が暗い場合に、スポットライトを補助的に使うことで、必要な明るさをしっかり確保することができます。

失敗しない明るさのルーメン計算

「雰囲気は良くなったけど、暗くて生活しづらい」という失敗を防ぐために、感覚だけでなく数値で明るさを確認しておくと安心です。LED電球の明るさは「ルーメン（lm）」という単位で表されます。

シーリングライトから移行する場合、日本照明工業会が定めている以下の適用畳数基準を参考に、複数の照明の合計値が目標に届くように計画しましょう。

（出典：一般社団法人日本照明工業会『LED照明器具の適用畳数について』）

足し算で考える照明計画

例えば8畳のリビングなら、合計で3,300lm〜4,300lm程度を目指します。一般的な60W相当のLED電球は1つあたり約800lmです。つまり、4〜5個の電球があれば基準値をクリアできる計算になります。

構成例としては、「ダイニングのペンダントライト1灯（800lm）」＋「ダクトレールのスポットライト3灯（800lm×3＝2,400lm）」＋「ソファ横のフロアライト1灯（800lm）」＝合計4,000lm。

このように組み合わせれば、基準値の上限に近い明るさを確保できます。「暗いかも？」と不安な方は、まずはスポットライトの数を多めにしておき、明るすぎる場合は電球を暗いもの（40W相当など）に交換したり、消灯したりして調整するのが失敗しないコツです。

シーリングライトをやめたい方への結論

ここまで、シーリングライトをやめるための具体的な方法や考え方、そして失敗しないためのテクニックをお伝えしてきました。結論として、「シーリングライトをやめること」は、単に照明器具を交換するだけの行為ではありません。

それは、受動的に与えられた均一な明かりから卒業し、自分のライフスタイルに合わせて能動的に光をコントロールする楽しみを手に入れることだと言えます。

光が変われば、暮らしが変わる

最初は少しコストがかかるかもしれませんし、電球を選んだりレールを取り付けたりする手間もあります。でも、その先には、夕食後に温かい光の中でくつろぐ極上の時間や、お気に入りの雑貨がスポットライトで美術館のように素敵に照らされた瞬間が待っています。それは何にも代えがたい、日々の暮らしの豊かさにつながるはずです。

いきなり全ての部屋を変える必要はありません。まずは寝室にフロアライトを一つ置くところから、あるいはリビングの一角を変えてみるところから、新しい光のある暮らしを始めてみてはいかがでしょうか。

注意点
本記事で紹介した設置方法は一般的な日本の住宅規格を想定しています。

古い物件や特殊な注文住宅など、配線器具の状態や建物の構造によっては取り付けできない場合もありますので、購入前には必ず製品の仕様書や寸法図をよく確認し、不安な場合は電気工事店などの専門家にご相談ください。