「部屋のダウンライトが暗く感じる」「もっとおしゃれな照明にしたい」と感じていませんか。
ダウンライトからシーリングライトへのDIYは、正しい知識と手順を踏めば、ご自身で行うことも可能です。この記事では、変換アダプターを使った簡単な方法から、引っ掛けシーリングを自分で交換する手順、さらには一体型のダウンライトをペンダントライトに変えるアイデアまで、幅広く解説します。
また、シーリングファンやダクトレールといった選択肢にも触れながら、後付けする場合の戸建てでの費用や、ペンダントライトの工事費用、賃貸物件での注意点、そしてシーリングライトは10年で交換が必要といったメンテナンスの観点まで、網羅的にご紹介します。
DIYを成功させるためのポイントを一緒に見ていきましょう。
この記事でわかること
- ダウンライトから他の照明へDIYで交換する具体的な方法
- DIYに必要な道具や変換アダプターの種類と選び方
- 交換にかかる費用や賃貸物件での注意点
- シーリングライト以外の照明(ペンダントライトなど)への交換方法
ダウンライトからシーリングライトへDIYする基礎知識

変換アダプターを使った手軽な交換方法
ダウンライトからシーリングライトやペンダントライトへ交換する際、最も手軽で簡単な方法が変換アダプターの利用です。この方法の最大のメリットは、電気工事士の資格がなくても安全に作業できる点にあります。
理由は、既存のダウンライトに設置されている電球ソケットをそのまま活用するため、配線を直接触る必要がないからです。電球を交換するのと同じ感覚で、照明の種類を変更できます。
主な変換アダプターの種類
変換アダプターにはいくつかの種類があり、目的応じて使い分ける必要があります。

- 口金変換アダプター
ダウンライトでよく使われる「E17口金」から、一般的な電球で多い「E26口金」へ変換するアダプターです。これにより、選べる電球の種類が格段に増え、より明るい電球を取り付けることが可能になります。 - 角度変換ソケット
斜めに取り付けられているダウンライトの光を真下に向けたい場合に便利です。ソケットの角度を自由に変えられるため、光の向きを調整したいときに役立ちます。 - 引掛シーリング変換アダプター(セパラボディなど)
電球ソケットを、シーリングライトやペンダントライトを取り付けられる「引掛シーリング」に変換する器具です。これを装着すれば、一般的な天井照明の多くが取り付けられるようになります。
アダプター選びのポイント
購入前には、必ず自宅のダウンライトの「口金サイズ(E17かE26か)」と「埋め込み穴の直径」を確認してください。サイズが合わないと取り付けができないため、事前のチェックが不可欠です。
引っ掛けシーリングを自分で交換する手順

天井に「引掛シーリング」と呼ばれる配線器具がすでに取り付けられている場合、照明器具本体の交換はご自身で行うことが可能です。引掛シーリングは、照明器具に電気を供給するためのコンセントのような役割を果たします。
ドライバー1本で簡単に取り外し・取り付けができるタイプの照明器具が多く、配線工事が伴わないため、資格は不要です。シーリングライトやペンダントライトの取扱説明書に従えば、多くの場合、問題なく交換作業を終えることができます。
【最重要】無資格での電気工事は法律違反です
天井に引掛シーリングがなく、配線を直接接続したり、新しく引掛シーリングを設置したりする作業は、電気工事士の資格が必須です。無資格での工事は法律で禁止されているだけでなく、漏電や火災の原因となり大変危険です。自信がない場合や配線作業が必要な場合は、必ず専門の電気工事業者に依頼してください。
「これくらいなら大丈夫だろう」という油断が、大きな事故につながる可能性があります。安全第一で作業を進めましょう!
一体型はペンダントライトに変える選択も

ダウンライトには、電球だけを交換できる「ランプ交換型」と、照明器具本体とLEDが一体になっている「一体型」の2種類が存在します。もしご自宅のダウンライトが「一体型」の場合、残念ながら変換アダプターを使った簡単なDIYはできません。
一体型は、器具そのものが天井に埋め込まれているため、交換するには器具ごと取り外す専門的な工事が必要になるからです。しかし、これを機に部屋の雰囲気を大きく変えるチャンスと捉えることもできます。
例えば、専門業者に依頼してダウンライトを撤去し、そこに引掛シーリングを新設してもらうことで、デザイン性の高いペンダントライトを取り付けるという選択肢が生まれます。
ペンダントライトは空間のアクセントになり、カフェのようなおしゃれな雰囲気を演出することも可能です。工事費用はかかりますが、照明計画を根本から見直したい方にはおすすめの方法です。
おしゃれなシーリングファンという選択肢
照明の交換を考えるなら、シーリングファン付きの照明も魅力的な選択肢の一つです。シーリングファンは、単に部屋を照らすだけでなく、多くのメリットを提供してくれます。
主なメリットは、ファンで空気を循環させることで冷暖房の効率を高め、省エネに貢献できる点です。また、天井で羽根が回る様子はデザイン的なアクセントにもなり、リゾートのような開放的な空間を演出できます。
最近では、引掛シーリングに自分で取り付けられる「簡易取付タイプ」の製品も増えており、DIYのハードルは下がっています。ただし、いくつかの注意点も理解しておく必要があります。
シーリングファン導入の注意点
- 掃除の手間:羽根にホコリが溜まりやすく、定期的な掃除が必要です。
- 天井の強度と高さ:製品によっては重量があるため、天井の補強が必要な場合があります。また、圧迫感を避けるため、ある程度の天井高が求められます。
- モーター音:静かな環境では、ファンのモーター音が気になる可能性も考慮しましょう。
ダクトレールを取り付けて自由度アップ
「照明の数や位置を気分に合わせて自由に変えたい」という方には、ダクトレール(ライティングレール)の設置が非常におすすめです。ダクトレールとは、レール上の好きな位置に複数の照明器具を取り付けられるバー状の配線器具です。
この方法の最大の魅力は、なんといってもその圧倒的な自由度の高さです。スポットライトで壁のアートを照らしたり、小さなペンダントライトを複数吊るして食卓を彩ったりと、多彩な照明演出が楽しめます。
DIYで挑戦するなら、引掛シーリングにカチッとはめるだけで設置できる「簡易取付式ダクトレール」を選びましょう。これなら電気工事は不要で、既存の照明と交換するだけで設置が完了します。
補足:本格的なダクトレール設置
天井にレールを直接埋め込むタイプのダクトレールは、見た目がすっきりして美しいですが、設置には電気工事士の資格が必要です。新築やリノベーションの際には検討する価値がありますが、後付けのDIYであれば簡易取付式が現実的でしょう。
ダウンライトからシーリングライトへDIYする際の注意点

後付けする場合の戸建てでの費用は?
戸建て住宅でダウンライトからシーリングライトへ後付け交換する際の費用は、ご自身で作業するDIYか、専門業者に依頼するかによって、数千円から数万円以上と大きく変わってきます。単純な金額の比較だけでなく、それぞれの費用の内訳やメリット、そして潜在的なリスクまで深く理解することが、後悔のない選択につながります。
ここでは、DIYと業者依頼、両方のケースについて費用感をさらに詳しく掘り下げて解説します。
DIYで交換する場合の費用
ご自身で作業するDIYの最大の魅力は、なんといっても工事費がかからず、費用を大幅に抑えられる点にあります。変換アダプターなどを使えば、電気工事士の資格がなくても交換できるケースが多いです。ただ、費用は「ゼロ」ではなく、主に以下のものが必要になります。
- 照明器具本体の代金:これが費用の大部分を占めます。シンプルな6畳用のLEDシーリングライトであれば3,000円程度からありますが、調光・調色機能付きの多機能なモデルや、デザイン性の高いものになると15,000円以上することもあります。
- 変換アダプター類の代金:ダウンライトのソケットを引掛シーリングに変換するアダプターなどが必要です。価格は500円~2,000円程度と、種類によって幅があります。
- 工具類の購入費:もし手元にない場合は、ドライバーセットや作業用の脚立などを準備する必要があります。これらも数千円の初期投資として考えておくと良いでしょう。
DIY費用の合計シミュレーション
例えば、8,000円のシーリングライトと1,500円の変換アダプターを使い、工具が既にある場合、合計費用は約9,500円となります。このように、DIYであれば1万円前後で交換を完了させることも十分に可能です。
ただし、作業に慣れていないと時間がかかったり、万が一、器具や天井を傷つけてしまったりした際の修繕費用はすべて自己負担となるリスクも考慮しておく必要があります。
専門業者に依頼する場合の費用
一方、専門業者に依頼する最大のメリットは、安全性と確実性、そして仕上がりの美しさです。配線工事が必要なケースや、DIYに少しでも不安がある場合は、迷わず専門業者を選びましょう。費用は高くなりますが、それに見合う安心感と保証が得られます。
業者に依頼する場合の費用は、単純な「工事費」だけではなく、現場の状況によって変動する「追加工事費」が大きく影響します。
項目 | 費用の目安 | 内容 |
---|---|---|
基本工事費 | 10,000円~20,000円 | 既存器具の撤去、新規器具の取り付け、出張費などを含んだ基本的な料金です。 |
天井開口部の補修 | 3,000円~10,000円 | ダウンライトの穴を塞ぐ作業です。パテ埋めで済むか、ボードでの補強が必要かで変動します。 |
下地補強工事 | 5,000円~15,000円 | シーリングライトの重量に耐えられるよう、天井裏に木材で下地を補強する工事です。 |
クロス貼り替え | 10,000円~ | 補修跡を隠すために壁紙を貼り替えます。部分的な補修で済むか、天井全面になるかで費用が大きく変わります。 |
【注意】「施主支給」は要相談
費用を抑えるために、自分で購入した照明器具(施主支給)の取り付けのみを業者に依頼する方法もあります。しかし、業者によっては対応不可の場合があるほか、取り付け後に不具合が出た際に「製品の問題か、工事の問題か」の責任の所在が曖昧になるリスクがあります。依頼する際は、事前に施主支給が可能か、保証はどうなるかを確認することが不可欠です。
単純な金額の安さだけでなく、ご自身の時間や手間、そして何より「安心感」という見えないコストも天秤にかけて、後悔のない方法を選んでくださいね。迷ったときは、複数の業者から見積もりを取って、じっくり比較検討するのが一番の近道ですよ。
ペンダントライトへの交換にかかる工事費用

前述の通り、一体型のダウンライトからペンダントライトへ交換する場合などは、専門業者による工事が必要になります。その際の費用は、単に照明器具を取り付けるだけでなく、いくつかの工程が含まれるため、ある程度の予算を見ておく必要があります。
工事費用の一般的な内訳は以下の通りです。
- 既存ダウンライトの取り外し費用:1,000円~3,000円程度
- 天井の開口部補修費用:2,000円~5,000円程度(パテ埋めなど)
- クロス(壁紙)の部分貼り替え費用:状況により変動
- 引掛シーリング設置費用:1,000円~3,000円程度
- 新しい照明器具の取り付け費用:1,000円~3,000円程度
- 出張費:3,000円~5,000円程度
これらの合計で、1箇所あたりおおよそ15,000円から30,000円程度が相場となりますが、天井の下地の状況や、クロスの廃盤などで天井全体の貼り替えが必要になると、費用はさらに高額になります。正確な費用は、必ず事前に業者へ見積もりを依頼して確認しましょう。
シーリングライトは10年で交換を検討
現在の照明器具の主流であるLED照明は、長寿命なのが大きな特長ですが、永久に使えるわけではありません。照明器具の寿命は、一般的に約10年が目安とされています。
これは、LEDの光を発する部分(LEDチップ)だけでなく、器具の内部にある「電源ユニット」などの電子部品にも寿命があるためです。10年を過ぎると、見た目には問題がなくても、明るさが徐々に低下したり、突然点灯しなくなったりするリスクが高まります。
照明器具の寿命の考え方
メーカーが示す「定格寿命」は、初期の明るさに対して70%まで明るさが低下するまでの時間を指すことが多く、切れるまでの時間ではありません。安全で快適な明かりを維持するためにも、設置から10年を目安に、照明器具本体の交換を計画することをおすすめします。
賃貸物件で実施する場合の確認事項

賃貸マンションやアパートでダウンライトからシーリングライトへのDIYを検討する場合、戸建て住宅とは異なる、絶対に越えてはならない一線が存在します。それは、作業を始める前に必ず物件の管理会社や大家さんに連絡し、明確な許可を得ることです。これを無視して作業を進めてしまうと、退去時に思わぬ高額請求などの深刻なトラブルに発展する可能性があります。
なぜ、それほどまでに事前の許可が重要なのでしょうか。その理由と、具体的な確認の手順について詳しく解説していきます。
許可が絶対に必要な2つの大きな理由
大家さんや管理会社がDIYに慎重になるのには、明確な理由があります。主に「原状回復義務」と「建物の安全性・資産価値の維持」という2つの観点が関係しています。
- 入居者の「原状回復義務」
賃貸物件の契約において、入居者は退去時に「借りたときの状態に戻して返す」という原状回復義務を負うのが一般的です。もし無断で照明器具を交換し、天井に新たな穴を開けたり、配線を変更したりした場合、これらは「故意・過失による損傷」と見なされ、元の状態に戻すための費用を全額請求されることになります。 - 建物の安全性と資産価値の維持
オーナーにとって、物件は大切な資産です。特に電気系統の変更は、専門知識がない人が行うと漏電や火災といった重大な事故につながるリスクをはらんでいます。また、建物の構造に手を入れる行為は、資産価値そのものを損なう可能性もあるため、オーナーは非常に慎重になります。
「バレなければ大丈夫」という考えは絶対にNGです
「小さな変更だから気づかれないだろう」と考えるのは非常に危険です。退去時の立ち会いでは、専門家が部屋の隅々までチェックするため、照明のような目立つ部分の変更は必ず発覚します。「知らなかった」では済まされず、関係の悪化や予期せぬ出費につながるだけですので、ルールは必ず守りましょう。
許可を得るための具体的なステップと伝え方のコツ
ただ「DIYしていいですか?」と漠然と聞くのではなく、順序立てて丁寧に相談することで、許可を得られる可能性は高まります。以下のステップを参考に交渉を進めてみてください。
- 賃貸借契約書を再確認する
まずは手元にある契約書を確認し、「造作・模様替え」に関する項目に目を通しましょう。DIYに関する特約が記載されている場合があります。 - 管理会社・大家さんへ連絡する
契約書を確認した上で、電話やメールで連絡します。その際は、以下の点を具体的に伝えるのがポイントです。- なぜ交換したいのか:「ダウンライトが暗くて生活に不便を感じている」「お部屋の雰囲気を少し変えて、より快適に暮らしたい」など、前向きな理由を伝えます。
- どのような作業をしたいか:「天井に穴を開けたり配線を変更したりする工事はせず、既存のソケットに変換アダプターを取り付けて、市販のペンダントライトを設置したい」というように、原状回復が容易な範囲の作業であることを明確にアピールします。
- 許可は書面など記録に残す
口頭での「いいですよ」という返事だけでは、後で「言った・言わない」のトラブルになる可能性があります。メールの文面や、簡単な承諾書にサインをもらうなど、必ず記録に残る形で許可を得ておくことが、ご自身の身を守る上で非常に重要です。
許可が出た後の注意点
無事に許可が出たとしても、それは「何をしても良い」という許可ではありません。借り物であるという意識を忘れず、以下の点に注意して作業を行いましょう。
- 取り外した元の照明器具の保管
退去時には元のダウンライトに戻す必要があります。取り外した器具は、絶対に紛失したり破損したりしないよう、大切に保管しておきましょう。梱包材に包んで押し入れの奥にしまうなど、保管場所を決めておくのがおすすめです。 - 丁寧な作業を心がける
許可された範囲の作業であっても、天井のクロスを汚したり、壁に傷をつけたりしないよう、細心の注意を払ってください。必要であれば、床や壁を養生してから作業を始めると安心です。
賃貸物件でのDIYは、オーナーとの信頼関係のうえに成り立っています。ルールとマナーを守って、気持ちよくお部屋のアップデートを楽しんでくださいね。
安全作業のために知っておくべき注意点

照明器具の交換は電気に関わる作業のため、安全への配慮が何よりも重要です。DIYに挑戦する前に、以下の点を必ず確認し、遵守してください。
最も重要なことは、作業を始める前に必ず分電盤のブレーカーを落とすことです。これを怠ると、作業中に感電する恐れがあり、命に関わる事故につながります。作業する部屋の照明回路のブレーカーだけでなく、念のためメインのブレーカーも切っておくとより安全です。
その他の安全対策
- 安定した足場の確保:ぐらつく椅子などの上で作業せず、安定した脚立を使用してください。転倒・落下は大きな怪我の原因になります。
- 絶縁工具の使用:ドライバーなどの工具は、持ち手部分がゴムなどで覆われた絶縁タイプのものを使用すると、万が一の感電リスクを低減できます。
- 配線状態の記録:もし配線を触る必要がある場合は、作業前にスマートフォンのカメラなどで元の配線の状態を撮影しておきましょう。後で元に戻す際に役立ちます。
「自分は大丈夫」という過信は禁物です。少しでも不安を感じたり、手順が分からなくなったりした場合は、ためらわずに作業を中断し、プロの業者に助けを求めましょう。
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