和室の照明を交換しようと考えたとき、
「シーリングライトを竿縁天井に取り付けたいけれど、どうすればいいの…?」
と悩んでいませんか。竿縁天井には特有の凹凸があるため、なぜ取り付けられないと言われるのか、その理由や正しい取り付け方を知らないと失敗や後悔につながる可能性があります。
この記事では、竿縁天井に対応するシーリングライトの選び方から、パナソニック製品の条件、専用の取付アダプタの必要性まで詳しく解説します。
また、ニトリなどの販売店でのサービス内容や、竿縁天井のメリットは何かといった基本的な疑問にもお答えしますので、ぜひ参考にしてください。
シーリングライトを竿縁天井に取り付ける基礎知識

そもそもメリットはある?
竿縁天井が持つメリットは主に以下の二つ。
和室特有の格式高い雰囲気や趣を演出できる点が挙げられます。一定間隔で配置された「竿縁」と呼ばれる細い木材が、天井に立体感とリズムを生み出し、空間全体を引き締める効果を持っています。
また、機能的な利点として通気性の高さがあります。天井板を合わせる部分に竿縁があることで、わずかな隙間が生まれます。
和室の四隅の壁上にある周り縁に、竿縁という横木を通し、その横木の上に天井板を渡して支えます。すっきりとした見た目で天井板の合わせ目に適度な隙間ができるため、通気性が高いのも特長です。
ナサホームより引用
この隙間が湿気を逃がす役割を果たし、天井裏の結露やカビの発生を抑制する助けとなるのです。このように、日本の気候風土に適した構造も、古くから採用されてきた理由の一つと考えられます。
一方で、この特徴的な構造がデメリットになる側面もあります。天井面が平らではないため、シーリングライトのような天井に直接密着させて設置するタイプの照明器具を取り付ける際には、特別な工夫や部材が必要になるのです。
なぜ取り付けられないと言われるの?
シーリングライトが竿縁天井には取り付けられない、あるいは推奨されないと言われる主な理由は、安全性に関わる問題があるためです。多くのシーリングライトの取扱説明書には、「凹凸のある天井には取り付けないでください」といった注意書きが記載されています。
その理由は竿縁天井の構造にあります。

竿縁によって天井面に段差があるため、シーリングライトをそのまま取り付けると、本体と天井の間に隙間が生じてしまいます。
この状態では照明器具が安定せず、手で押すとガタガタと動く不安定な設置状態になります。平常時であれば問題ないように感じるかもしれませんが、大きな地震が発生した際には、揺れによって器具が大きく振られ、最悪の場合、落下してしまう危険性があるのです。
また、隙間があることで、照明カバーの取り付けや取り外しが困難になるという実用的な問題も発生します。本体が固定されていないとカバーをはめる際に一緒に回転してしまい、うまく装着できないことがあります。これらの理由から、安全で確実な設置のためには、段差を解消するための対策が不可欠となるのです。
対応している照明器具の条件とは
竿縁天井に照明器具を取り付ける場合、すべての製品が非対応というわけではありません。いくつかの条件を満たせば、安全に設置することが可能です。
まず、ペンダントライトのように、天井の引掛けシーリングから吊り下げるタイプの照明器具は、基本的に問題なく設置できます。竿縁の凹凸に影響を受けずに取り付けられるため、最も手軽な選択肢と言えるでしょう。
シーリングライトを設置したい場合は、主に二つのパターンが考えられます。一つは、小型のシーリングライトで、本体の直径が竿縁の間に収まり、天井板の平らな部分に直接接触できる場合です。このケースでは、本体が竿縁に干渉しないため、アダプターなしで使用できることがあります。
もう一つは、一般的なサイズのシーリングライトを取り付ける場合で、このときは専用のアダプターを使用することが必須条件となります。このアダプターは、竿縁の段差によって生じる隙間を埋め、照明器具本体を天井にしっかりと固定する役割を果たします。
アダプターを使わずに無理に取り付けると、前述の通り、ぐらつきや落下の原因となるため、必ず製品の仕様を確認し、適切な部材を用意することが大切です。
パナソニック製品の取り付け条件
大手照明メーカーであるパナソニックでは、竿縁天井にシーリングライトを取り付ける際の具体的な条件を定めています。これらの条件を満たしているか事前に確認することが、安全な設置への第一歩となります。
パナソニックの指定する条件は、主に竿縁の寸法と間隔に関するものです。お使いになる部屋の天井がこの基準を満たしているか、メジャーなどで正確に測定してください。
確認項目 | 条件 |
竿縁の間隔 | 300mm以上 |
竿縁の幅 | 24mm以上 |
竿縁の高さ | 24mm~34mm |
これらの条件は、同社が販売している竿縁天井取付アダプタを正常に機能させるために必要な寸法です。竿縁の間隔が狭すぎたり、竿縁自体の幅や高さが基準外であったりすると、アダプタが正しく固定できず、照明器具の安定性を確保できません。
ご自宅の和室がこれらの条件を満たしている場合は、パナソニック純正の取付アダプタを使用することで、対応するシーリングライトを安全に取り付けることが可能になります。購入を検討しているシーリングライトが竿縁天井に対応しているか、また、どのアダプタが必要かについては、必ず公式サイトや取扱説明書で確認するようにしましょう。
竿縁天井で使えるおしゃれな照明
竿縁天井だからといって照明のデザインを諦める必要はありません。シーリングライト以外にも、和室の雰囲気を損なわず、むしろ魅力を高めてくれるおしゃれな照明器具の選択肢は数多く存在します。
代表的なのはやはりペンダントライトです。

和紙を使ったシェードのものや、木や竹などの自然素材を活かしたデザインは、竿縁天井との相性も抜群。コードの長さを調節できるタイプを選べば、天井の高さや部屋の用途に合わせて最適な光の位置を決めることができます。
最近では、電球を複数取り付けられるソケット(ペンダントライトソケット)も販売されており、スマートLED電球と組み合わせることで、明るさや色を自在にコントロールすることも可能です。
また、天井に直接レールを取り付けるダクトレール(ライティングレール)も一つの方法です。

これを使えば、スポットライトや小型のペンダントライトを複数、自由な位置に取り付けることができます。光の向きを調整できるため、部屋全体を照らすだけでなく、特定の場所を強調するような照明計画も楽しめます。ただし、ダクトレールの設置には電気工事が必要になる場合がありますので、専門業者への相談を検討してください。
シーリングライトを竿縁天井に設置する具体策

専用の取付アダプタと取り付け方
竿縁天井にシーリングライトを安全に取り付けるためには、専用の取付アダプタ(スペーサー)が欠かせません。

このアダプタは、竿縁の段差によって生まれる照明器具本体と天井との隙間を埋め、ぐらつきを防ぎ、地震の際の揺れによる落下リスクを軽減する重要な役割を担います。
取り付け方は、以下の手順が一般的です。
1. 天井の配線器具の確認
まず、天井に「引掛シーリング」または「引掛ローゼット」という配線器具が付いていることを確認します。これがなければ、電気工事士による設置工事が必要です。
2. 照明器具付属のアダプタを設置
シーリングライトに付属している円形のアダプタを、天井の引掛シーリングに「カチッ」と音がするまで回して取り付けます。
3. 照明器具本体を取り付け
円形のアダプタに、照明器具本体を押し上げて取り付けます。この段階では、本体はまだ固定されておらず、回転する状態です。
4. 専用アダプタ(スペーサー)の挿入と固定
本体と竿縁の間に生じている隙間に、専用の取付アダプタ(スペーサー)を挟み込みます。そして、照明器具本体に元々用意されているネジ穴(または自分で開けた穴)とスペーサーの穴を通して、竿縁にネジで固定します。この作業を2ヶ所以上で行うことで、照明器具が天井に強固に固定され、ぐらつきが完全になくなります。
この固定作業を怠ると、安全性が確保できないため、必ず取扱説明書に従って正しく設置してください。
取付アダプタはアイリスオーヤマにもある?
アイリスオーヤマのシーリングライトを竿縁天井に取り付けたい場合、同社からパナソニックのような専用の「竿縁天井取付アダプタ」という形では、公式な製品として販売されていないようです。
アイリスオーヤマの公式Q&Aによれば、小型シーリングライトなど、本体が天井(竿縁)に当たらなければ使用できる、という見解が示されています。
Q.竿縁や格子天井に取り付けてもいいですか?
アイリスオーヤマQ&A
本体が天井に当たらなければご使用できます。
これは、照明器具の直径が竿縁と竿縁の間の平らな天井面に収まるサイズであれば、問題なく設置できるという意味です。
しかし、一般的な6畳用や8畳用などのシーリングライトは直径が大きく、必ず竿縁に干渉します。この場合、前述の通り、隙間を埋めて固定するためのスペーサーが不可欠です。アイリスオーヤマの製品に他社製の取付アダプタが使用できるかについては、公式な保証はありません。形状や寸法が合わない可能性や、安全性が確保できないリスクも考えられます。
そのため、アイリスオーヤマのシーリングライトを竿縁天井に取り付ける際は、照明器具の寸法を事前にしっかりと確認し、竿縁の間に収まる小型のものを選ぶか、あるいは自己責任で汎用品のスペーサーや自作の部材を使って固定する方法を検討する必要があります。
アダプタの自作は可能か?注意点
メーカー純正の取付アダプタが入手できない場合や、コストを抑えたい場合に、アダプタ(スペーサー)を自作するという選択肢も考えられます。実際に、木材や3Dプリンターを利用して、天井と照明器具の隙間に合わせたスペーサーブロックを作成し、設置している例もあります。
自作は可能ですが、実行する際にはいくつかの重要な注意点があります。
まず、最も大切なのは安全性です。使用する素材には十分な強度が必要です。木材を使用する場合は、ネジ止めした際に割れない程度の厚みと硬さがあるものを選びましょう。また、寸法も正確に測定し、隙間にぴったりと収まるように加工することが肝心です。隙間が残ると、ぐらつきの原因となり、自作の意味がなくなってしまいます。
次に、電気配線に関する作業は絶対に行わないでください。照明器具の取り付け自体は、天井に引掛シーリングがあれば資格がなくても行えます。しかし、配線を変更したり、引掛シーリング自体を設置したりする作業は、電気工事士の資格がなければ法律で禁じられています。感電や火災のリスクが非常に高いため、絶対におやめください。
自作はあくまで自己責任の範囲で行うものであり、少しでも不安がある場合は、専門業者に相談することを強く推奨します。
ニトリでは取り付けサービスはある?
ニトリでシーリングライトを購入した場合、店舗による取り付けサービスの提供は行っていません。購入した照明器具は、基本的にお客様自身で取り付けていただく必要があります。
多くのシーリングライトは、天井に「引掛シーリング」と呼ばれる配線器具が設置されていれば、特別な工事は不要で、取扱説明書を見ながら比較的簡単に取り付けることが可能です。しかし、竿縁天井のように設置に工夫が必要な場合や、引掛シーリング自体が天井にない場合は、専門的な知識や作業が求められます。
自分で取り付けるのが難しい、あるいは不安な場合は、無理をせず専門の業者に依頼することを検討してください。地域の電気工事店や、くらしのマーケットのようなサービス業者を探せるプラットフォームで依頼することが可能です。
業者に依頼した場合の費用相場としては、既存の引掛シーリングへの照明器具取り付け作業だけであれば1,500円から5,000円程度です。天井に引掛シーリングがなく、その設置から依頼する場合は、部品代と作業費を合わせて5,000円から10,000円程度が目安となります。正確な料金は業者によって異なるため、事前に見積もりを取ることをおすすめします。
安全なシーリングライトを竿縁天井に
この記事では竿縁天井へのシーリングライト取り付けに関する様々な情報をお届けしました。安全に設置するためのポイントをや取付方法をまとめるとこうなります。