こんにちは。照明セレクション、運営者の「ミト」です。
部屋の雰囲気を一気におしゃれに変えたいと思ったとき、間接照明や観葉植物を取り入れようと考える方は多いのではないでしょうか。SNSで見かけるような、壁に葉の影が落ちる幻想的なインテリア実例には憧れますよね。
でも、実際に自分の部屋でやるとなると、配置のバランスが難しそうだったり、そもそも日当たりの悪い場所で植物が育つのか不安だったりしませんか。実は、光と緑の組み合わせにはちょっとしたコツがあるんです。
この記事では、私が実際に試行錯誤してたどり着いた、失敗しないレイアウトや枯らさないためのポイントを余すことなくお伝えします。
「ただ置くだけ」ではもったいない!
光を当てる角度と距離を少し変えるだけで、あなたの部屋は劇的に変わります。
まずは手持ちのライトと植物で、この記事のテクニックを試してみてください。
間接照明と観葉植物でおしゃれな空間を作る

「照明」と「植物」。この2つを組み合わせる最大のメリットは、単に明るくするだけでなく、空間に「奥行き」と「ドラマ」を生み出せることです。現代のインテリアデザインでは、自然の要素を取り入れる「バイオフィリックデザイン」が注目されていますが、照明はその魅力を何倍にも増幅させる装置と言えます。
まずは、インテリアとしての見栄えを最大限に引き上げるための、デザイン的なアプローチから見ていきましょう。私が実践しているテクニックを中心に紹介します。
おしゃれなインテリア実例と影の演出
間接照明と観葉植物の醍醐味といえば、やはり壁や天井に映し出される「影(シャドウ)」の美しさです。これを意図的に作ることで、部屋はまるで美術館のような雰囲気に変わります。影の演出は、「光源の種類」と「距離」によって全く異なる表情を見せます。
私がよくやるのは、植物の背後から壁に向かって光を当てる「バックライティング(シルエット演出)」という手法です。

これを行うと、植物が黒いシルエットとして浮かび上がり、輪郭の美しさが際立ちます。特に、夕暮れ時の逆光のような哀愁漂う雰囲気が作れるため、リラックスしたい夜の時間帯にぴったりです。
逆に、植物の手前下からあおり気味に光を当てる「アップライティング」も効果的です。これをすると、背後の壁や天井に巨大な影が投影され、空間がダイナミックに広がって見えます。天井が低い日本の住宅でも、視線が上に向くことで開放感を感じられるおすすめのテクニックです。
影の質をコントロールする上級テクニック
影には「ハードシャドウ(硬い影)」と「ソフトシャドウ(柔らかい影)」の2種類があります。
- くっきりとした影を作りたい場合:光源を植物に近づけ、シェードのない「クリア電球」や集光型の「スポットライト」を使います。モンステラのような幾何学的な葉におすすめです。
- ふんわりとした影を作りたい場合:光源を植物から離すか、フロストガラスや和紙のような「拡散光」を使います。シダ植物やエバーフレッシュのような細かい葉におすすめです。
また、壁の材質によっても影の見え方は変わります。白いクロス壁なら影がシャープに映りますし、コンクリートや塗り壁ならテクスチャと相まって複雑なニュアンスが生まれます。自宅の壁に向けてライトを動かしながら、一番美しく見える「スイートスポット」を探してみてください。
寝室を癒しの場にする光のテクニック
寝室に観葉植物を置く場合、意識したいのは「安眠を妨げない光」と「リラックス感」です。寝室は一日の疲れを癒やす場所ですから、刺激的な光は絶対に避けなければなりません。
人間の体は、夜になると「メラトニン」という睡眠ホルモンを分泌して眠る準備を始めます。しかし、昼間の太陽のような青白い光(昼光色)や強い光を浴びてしまうと、体が「まだ昼だ」と勘違いしてメラトニンの分泌が抑制され、眠りが浅くなってしまうことが分かっています。(出典:厚生労働省 e-ヘルスネット『光の性質と生体リズム』)
そのため、寝室の植物用照明には、夕日のような温かみのある「電球色(2000K〜3000K)」を徹底してください。

この色温度の光を当てると、植物の葉は少し黄色味がかって見えますが、それがかえって枯葉や夕暮れの森のようなノスタルジックな温かさを演出し、副交感神経を優位にしてくれます。
配置に関しては、「グレアレス(眩しさを感じさせない)」がキーワードです。私はベッドサイドに背の低い観葉植物(サンスベリアやアロエなど)を置き、その足元に小さなテーブルランプや、床置きの間接照明を隠すように設置しています。
光源の位置を「腰より低い位置」に限定することで、ベッドに入ったときに直接光が目に入らず、かつ天井に柔らかい影が揺らめく、極上の入眠環境が整います。
寝室の植物選びの注意点
寝室では、夜間に二酸化炭素を吸収して酸素を出す「CAM植物」(サンスベリアなど)を選ぶと、空気環境の改善も期待できます。また、あまりに大きな影が天井で揺れ動くと、無意識に不安感を感じる場合があるので、風で揺れやすい植物よりも、どっしりとした形状のものを選ぶのがおすすめです。
賃貸でも安心な配線を隠す方法
照明器具を増やせば増やすほど、避けて通れないのが「配線(コード)のごちゃつき問題」です。どんなに素敵な照明と植物を置いても、黒や白の電源コードが床を這い回っていると、一気に生活感が出て現実に引き戻されてしまいます。特に賃貸住宅では、壁に穴を開けて配線を裏に通すといった工事ができないため、工夫が必要です。
私が一番手っ取り早くて効果的だと感じているのは、「植物の鉢を大きめの鉢カバーに入れて、その隙間にコードを隠す」という方法です。

植物の鉢(プランター)は、インテリアの中で自然な「障害物」として機能します。スポットライトの余ったコードやスイッチ部分、あるいは電源タップそのものを、一回り大きな鉢カバーの中に入れ込んでしまい、上からウッドチップやココヤシファイバーで覆ってしまえば、誰にも気づかれません。
また、コードを「隠す」のではなく「同化させる」のも一つの手です。白い壁には白いコード、フローリングには茶色のコードを選び、壁や床のラインに沿って這わせます。100円ショップやホームセンターで売っている「配線カバー(モール)」を使えば、壁紙に馴染ませて完全に消すことも可能です。最近は、ホッチキスで固定できる賃貸向けの配線モールも販売されています。
あえて「見せる」配線テクニック
どうしても隠せない場合は、デザイン性の高い「ファブリックコード(布巻きコード)」の照明器具を選びましょう。ツイストコードやカラフルなコードを選び、あえて天井から優雅に垂らすことで、配線自体をインテリアの一部として楽しむことができます。真鍮製のフックなどを使って、壁に幾何学模様を描くように配線するのもおしゃれですよ。
狭い部屋を広く見せる配置の工夫
「部屋が狭くて植物と照明を置くスペースがない」と諦めていませんか?実は、狭い部屋(スモールスペース)こそ、間接照明と観葉植物の視覚効果が最大限に発揮される場所なのです。
部屋の隅(コーナー)は、通常、光が届かず暗くなるため「空間の終わり」として認識され、部屋を狭く感じさせる要因になります。ここにあえて背の高い観葉植物(シンボルツリー)を置き、下からアッパーライトで天井に向けて光を照らしてみてください。そうすると、部屋の隅が明るくなり、境界線が曖昧になることで、視覚的に壁が奥へ広がったような錯覚(奥行きの拡張)が生まれます。

また、床のスペース(フロア面積)がない場合は、「垂直方向(バーティカル)」を活用しましょう。天井のライティングレール(ダクトレール)から植物を吊るす「ハンギンググリーン」を採用し、それをレール上のスポットライトで照らします。視線が自然と上に誘導されるため、天井が高く感じられ、圧迫感が軽減されます。棚の上から垂れ下がるポトスやアイビーに光を当てるのも同様の効果があります。
鏡(ミラー)を使った裏技
植物と照明の近くに「鏡」を置いてみてください。鏡に植物と光が映り込むことで、緑の量が2倍に見え、さらに光が反射して部屋全体が明るくなります。狭い玄関や廊下で特におすすめのテクニックです。
フェイクグリーンを活用した照明術
ここまで本物の植物の話をしてきましたが、「出張が多くて世話ができない」「日当たりが全くない地下室や窓なしの部屋だ」という場合は、高品質なフェイクグリーン(人工観葉植物)という選択肢も大いにアリです。
昔の造花はいかにもプラスチックという質感でしたが、最近の「アーティフィシャルグリーン」は本当に精巧です。近くで凝視しない限り、本物と区別がつかないレベルのものが増えています。フェイクグリーンの最大のメリットは、「光合成を気にする必要がない」こと。
つまり、植物育成に必要な強い光や特定の波長を考慮する必要がなく、純粋にインテリアとしての「演出のための光」だけで構成できるのです。
例えば、本物の植物には強すぎるような至近距離からのドラマチックなライティングや、植物には有害な熱を持つ白熱球の光など、自由な照明設計が可能になります。また、水やりの必要がないため、高い棚の上や、配線が多くて水気厳禁なテレビ裏のスペースにも安心して置くことができます。
フェイクグリーンを安っぽく見せないコツ
フェイクグリーンに照明を当てる際の注意点は、「テカリ」です。安価な製品は表面がつるつるしており、強い光を当てると反射して「偽物感」が強調されてしまいます。
選ぶ際はマットな質感のものや、起毛加工されたものを選びましょう。また、本物の植物(比較的丈夫なポトスなど)と混ぜて飾ることで、フェイクの違和感を消す「カモフラージュ効果」も狙えます。
間接照明で観葉植物を枯らさない育て方

インテリアとして最高におしゃれに飾れても、数週間で植物が茶色く枯れてしまっては元も子もありません。ここからは、デザインだけでなく「育成」の視点に切り替えます。
照明好きの私が何度も失敗し、枯らしてしまった経験から学んだ「光量不足」の壁と、それを乗り越えるための具体的なノウハウを解説します。
日光不足によるトラブルと対策
室内で観葉植物を育てる際、最大の敵はやはり「日光不足」です。人間の目は非常に優秀で、少ない光でも自動的に感度を調整して「明るい」と感じることができます。しかし、植物にとってその明るさは、生存ギリギリの「飢餓状態」である場合がほとんどです。特に間接照明メインのムーディーな部屋や、窓から数メートル離れた場所は、植物にとっては「真っ暗闇」に近いのです。
光が足りないと、植物は光を求めて茎をひょろひょろと長く伸ばそうとします。これを「徒長(とちょう)」と言います。
植物の茎や枝が必要以上に伸びた状態のことを徒長と言います。
通常の成長と見分けるポイントとしては、植物に元気がない、葉色が薄い、葉と葉の間隔が長い、自力で立つことができないなどが、あげられます。
アサヒペンより引用
徒長すると、節と節の間隔が間延びして見た目のバランスが悪くなるだけでなく、茎が細くなって株全体が弱り、病害虫に対する抵抗力が著しく低下します。また、新しい葉が出なくなったり、下の葉から黄色くなって落ちたりするのもSOSのサインです。
基本的な対策としては、週に数回、日中に窓際に移動させて日光浴をさせるのが一番です。しかし、大きな鉢を毎回移動させるのは重労働ですし、忙しいとつい忘れがちになりますよね。また、急に強い直射日光に当てると今度は「葉焼け」を起こすリスクもあります。そこで救世主となるのが、太陽の代わりとなる「植物育成ライト」の導入です。
おすすめの植物育成ライトとLED選び
「植物育成ライト」と聞くと、植物工場のような怪しげなピンク色や紫色の光をイメージする方もいるかもしれません。確かに植物の成長には赤と青の波長が重要ですが、リビングでピンク色の光を使うのはインテリア的に厳しいですよね。幸い、最近のトレンドは「インテリアに完全に馴染む白色の高演色LEDライト」です。
育成ライトを選ぶ際に必ずチェックしてほしいスペックは、「演色性(Ra/CRI)」と「照度(Lux)またはPPFD」です。
- 演色性(Ra):光が当たった物の色がどれだけ自然に見えるかの指標です。Ra100が太陽光で、一般的なLEDはRa80程度です。植物を美しく見せるなら、「Ra90以上」の高演色LEDを強くおすすめします。これを使うと、葉のグリーンの深みや鮮やかさが段違いに良く見えます。
- 色温度(K):インテリア性を重視するなら、部屋の照明に合わせて「電球色(3000K前後)」か「温白色(3500K〜4000K)」を選びましょう。最近は電球色でも光合成に必要な波長を含んだ優秀なライトが登場しています。
| タイプ | 特徴 | おすすめの設置場所・用途 |
|---|---|---|
| スポットライト型 (E26口金など) | 強い光を一点に集中できる。 デザイン性が高い製品が多い。 | ダクトレール、クリップライト。 大型植物や、離れた場所からの照射。 |
| パネル・バー型 | 面で発光するため影ができにくい。 広範囲を均一に照らせる。 | メタルラック、棚の天板裏。 多肉植物や小鉢を並べて育てる場合。 |
| スタンド一体型 | 設置が簡単で、高さ調整が可能。 インテリア照明に近いデザイン。 | デスクの上、チェストの上。 手軽に始めたい初心者向け。 |
個人的には、「BARREL(バレル)」などの日本メーカーから出ている「TSUKUYOMI」や「AMATERAS」といったシリーズを愛用しています。これらは太陽光に近いスペクトルを持ちながら、見た目も洗練されており、もはや普通の高級スポットライトと見分けがつきません。
照明映えするおすすめの植物の種類
間接照明のある環境(比較的暗めの場所)でも耐えられる、かつ照明を当てたときに美しく見える植物を選ぶことも成功の秘訣です。植物には、日陰に強い「耐陰性」というパラメータがあります。
まず、「耐陰性が高いこと」が絶対条件です。ただし、耐陰性があるといっても「光が不要」なわけではなく、「少ない光でも枯れにくい」という意味であることを忘れないでください。
- サンスベリア: 剣のように鋭く垂直に伸びるフォルムが、下からのアッパーライトと相性抜群です。縦のラインが強調され、天井を高く見せる効果があります。乾燥にも強く、耐陰性もトップクラスなので、寝室のベッドサイドにも最適です。
- モンステラ: 切れ込みの入った大きな葉は、壁にダイナミックな影を落とす「影の王様」です。ある程度の耐陰性はありますが、光に向かって大きく曲がる性質があるため、定期的に鉢を回して形を整える必要があります。
- エバーフレッシュ: 細かい葉が集まった涼しげな姿が魅力です。光を当てると葉の隙間から木漏れ日のような光が落ち、レースのカーテン越しのような繊細な影を作ります。夜になると葉を閉じる「睡眠運動」をするため、生きていることを実感できる愛らしい植物です。
- ポトス・アイビー: 非常に丈夫なつる性植物です。ハンギングにして高い位置から照らすと、葉が光のシャワーを浴びて輝いているように見え、空間に瑞々しさを与えます。
枯れる原因となる光量と距離の管理
せっかく高性能な育成ライトを導入しても、設置の仕方を間違えると効果がないどころか、植物を痛めてしまうことがあります。最も多い失敗は「ライトとの距離」です。
物理の法則に「逆二乗の法則」というものがあり、光源からの距離が2倍になると、光の強さは4分の1に激減してしまいます。「おしゃれだから」といって天井高くから床の小さな植物を照らしても、光合成に必要なエネルギーはほとんど届きません。
逆に、近すぎるとLEDの熱や強すぎる光エネルギーによって、葉が茶色く変色する「葉焼け」を起こします。使用するライトの出力(ワット数)にもよりますが、一般的には植物の頂点から30cm〜50cm程度離して設置するのが安全な目安です。手をかざしてみて、じんわり熱を感じるようなら近すぎます。
点灯時間の管理は「スマートプラグ」で
植物にも人間と同じように生活リズムがあります。24時間ずっと光を当て続けると、休息できずに弱ってしまいます。1日8時間〜12時間を目安に点灯し、夜はしっかりと暗くして休ませましょう。
毎日スイッチを入れるのが面倒な方は、スマホでスケジュール設定ができる「スマートプラグ」を使うと、全自動でオンオフ管理ができるので非常に便利ですよ。
間接照明と観葉植物で実現する理想の部屋
ここまで、間接照明と観葉植物を組み合わせた空間作りについて、デザインと育成の両面から詳しく解説してきました。少し情報量が多かったかもしれませんが、まずは「お気に入りの植物を一つ、クリップライトで照らしてみる」という小さな一歩から始めてみてください。
仕事から帰ってきて、部屋のメイン照明を落とし、間接照明だけを点ける。壁にはお気に入りの植物の影が揺らめき、温かい光に包まれる。そんな空間で、好きなお酒やコーヒーを飲みながら一息つく時間は、何にも代えがたい贅沢なひとときです。植物が元気に育つ環境を整えることは、結果的にそこに住む私たち人間にとっても、居心地の良い「聖域(サンクチュアリ)」を作ることにつながります。
ぜひ、あなたも光と緑の魔法を使って、日常を少しだけ特別で豊かなものに変えてみてくださいね。

