こんにちは。照明セレクション、運営者の「ミト」です。
毎日仕事や学校、あるいは人間関係に揉まれて、クタクタになって帰ってくる自宅。ドアを開けた瞬間、真っ暗な部屋に寂しさを感じたり、とりあえずつけた天井の白い電気の明るさが、疲れた目に突き刺さるように感じたりすることはありませんか?
私自身、一人暮らしを始めたばかりの頃は、家具やカーテンにはこだわっても「照明」は備え付けの丸いシーリングライトのままでした。でも、なんだか部屋が殺風景で、夜になっても気持ちがオフに切り替わらない……そんなモヤモヤを抱えていたんです。
実は、「間接照明」を取り入れることは、一人暮らしの女性にとって、単なるインテリアのアップデート以上の意味があります。限られたスペースであるワンルームや1Kでも、ほんの少し光の質と配置を変えるだけで、そこは自分を守ってくれる「サンクチュアリ(聖域)」のような、特別な癒やしの空間に生まれ変わります。
この記事では、賃貸物件でも壁を傷つけずに導入できる具体的なテクニックや、心からリラックスして泥のように眠るための光の選び方について、私なりの視点と経験を交えて、徹底的に詳しくお話ししていこうと思います。
一人暮らしの女性が間接照明で癒やされる理由

「ただ部屋を明るくする」という機能だけを考えれば、天井のシーリングライトひとつで十分です。それでも、なぜ多くの女性が間接照明に惹かれ、取り入れようとするのでしょうか。
それは、間接照明がもたらす効果が、私たちの心理的な安心感や、女性特有の繊細な体調管理に深く寄り添ってくれるからです。天井から部屋全体をフラットに照らす直接照明とは異なり、壁や天井に光を反射させて柔らかい明かりを作る間接照明は、一人暮らしの寂しさを埋め、自分を大切にする時間を作り出してくれます。
ここでは、なぜ間接照明がこれほどまでに私たちの心と暮らしにフィットするのか、その科学的・心理的な理由を深く掘り下げていきましょう。
寝室の睡眠の質を上げる色の選び方
夜、ベッドに入ってからもスマホを触ってしまい、なかなか寝付けない……そんな経験はありませんか? 実はそれ、意志が弱いからではなく、部屋の「照明の色」が脳を覚醒させてしまっている可能性が高いんです。
私たちの体には「サーカディアンリズム(概日リズム)」という体内時計が備わっています。
ヒトは24時間周期で睡眠と覚醒を繰り返します。このように、体内にある時計のようなリズムのことをサーカディアンリズム(概日リズム)といいます。
看護rooより引用
朝、太陽の強い光を浴びると覚醒ホルモンが分泌され、夜になり暗くなると睡眠ホルモンである「メラトニン」が分泌されて眠くなるようにできています。
しかし、夜遅くまで昼間と同じような「白い光(昼光色や昼白色)」を浴び続けていると、脳が「まだ昼間だ」と勘違いしてしまい、メラトニンの分泌が抑制されてしまいます。これが、寝付きの悪さや、寝ても疲れが取れない原因の一つです。
リラックスには「電球色」が絶対条件
結論から言うと、夕食後から就寝前にかけてのリラックスタイムには、「電球色」と呼ばれるオレンジ色の光がベストです。色温度の数値で言うと「3000K(ケルビン)以下」、できれば夕暮れ時に近い2000K〜2700Kのものが理想的です。
| 光の色(色温度) | 特徴と印象 | 一人暮らしでの推奨シーン |
|---|---|---|
| 昼光色 (約6500K) | 青白く、スッキリした光 | 朝のメイク、細かい作業、読書(集中) |
| 昼白色 (約5000K) | 太陽に近い自然な白 | 料理、掃除、日中のテレワーク |
| 電球色 (約3000K) | 温かみのあるオレンジ | 食事、映画鑑賞、入浴後のリラックス |
| 夕暮れ色 (約2000K) | ろうそくのような深い赤み | 就寝1時間前、瞑想、ヨガ |
厚生労働省の情報提供サイトでも、快適な睡眠のための環境づくりとして、寝室の光は刺激の少ない暖色系にすることが推奨されています。
(出典:厚生労働省 e-ヘルスネット『快眠のための環境づくりとは?』)
具体的なアクションとしては、寝る1時間前になったら天井の白い電気を消し、電球色の間接照明だけにするのが最も効果的です。薄暗いオレンジ色の光の中でストレッチをしたり、スキンケアをしたりすることで、副交感神経が優位になり、驚くほどスムーズに深い眠りに入れるようになりますよ。
狭い部屋を広く見せる配置のテクニック
一人暮らしの部屋、特にワンルームや1Kにお住まいの方にとって、「部屋の狭さ」は共通の悩みではないでしょうか。家具を減らすのも限界があるし……と諦める前に、ぜひ試してほしいのが「光による錯視効果」を使ったテクニックです。
人間の目は、明るい場所に視線が誘導され、暗い場所は収縮して見える性質があります。これをうまく利用することで、物理的な広さは変わらなくても、体感的な広さを劇的に変えることができます。
部屋の「隅(コーナー)」を攻略する
最も簡単で効果が高いのが、「部屋の四隅(コーナー)」を照らすことです。

通常、天井にシーリングライトが一つついているだけの部屋では、部屋の隅が影になって暗くなります。隅が暗いと、私たちの脳はそこで部屋が終わっていると明確に認識してしまい、壁の圧迫感を強く感じます。
そこで、フロアライトやクリップライトを使って、部屋の奥の隅(入り口から見て対角線上にある隅)をふわっと照らしてみてください。そうすると、壁と天井の境界線(入隅)が光で曖昧になり、視線が奥へと抜けていくため、不思議と奥行きが生まれたように感じるのです。
天井を高く見せるアッパーライト
もう一つのテクニックは、光を天井に向かって当てる「アッパーライト」です。

背の高いスタンドライトや、上向きに角度を変えられるスポットライトを使って、天井面を明るく照らします。すると、天井が光を受けて高く感じられ、開放感がアップします。低い位置に座って過ごすことが多い一人暮らしの部屋では、この「縦の広がり」を演出するだけで、閉塞感がかなり軽減されます。
今日からできる配置のコツ
- 部屋の隅にある観葉植物の後ろにライトを置き、葉の影を壁に映す(奥行き演出)。
- カーテンレールの端にクリップライトをつけ、壁や天井を照らす。
おしゃれな韓国風インテリアの実例
InstagramやPinterestで大人気の「韓国インテリア(K-Interior)」。白、ベージュ、アイボリーを基調とした「淡色インテリア」は、清潔感があって一人暮らしの女性にぴったりですよね。このスタイルを完成させるために欠かせないのが、特徴的なデザインの照明です。
韓国風インテリアの照明選びのキーワードは、「曲線美」と「ユニークなフォルム」です。
プリーツシェードとマッシュルーム
まず押さえておきたいのが、「プリーツシェードランプ」です。
陶器や木製のベースに、プリーツ(ひだ)の入った布製のシェードを組み合わせたテーブルランプで、点灯すると布を通した光が柔らかく拡散し、とても上品な雰囲気になります。ベッドサイドのサイドテーブルに置くだけで、一気に「韓国っぽい」部屋になります。
また、キノコのようなころんとした形をした「マッシュルームランプ」も定番です。ガラス製のものが多く、ミッドセンチュリーな雰囲気もありつつ、ポップで可愛いらしさがあるため、部屋のアクセントとして最適です。
「エモい」空間を作るプロジェクションライト
さらに、SNS映えを狙うなら外せないのが「サンセットライト(夕日ライト)」や「オーロラライト」です。
これは部屋を照らすというより、壁に「光の絵」を描くためのアイテムです。夕日のようなオレンジ色の円形や、オーロラのような揺らぐ光を白い壁に投影することで、エモーショナルで幻想的な空間を作り出します。
自分のお気に入りの雑貨を並べて、このライトを当てて写真を撮れば、誰でも簡単におしゃれな投稿が作れますよ。
ホテルライクな空間を作るテレビ裏照明
「生活感のない、高級ホテルのような部屋に住みたい」。そんな願いを叶えるための最短ルートが、光源(電球そのもの)を徹底的に隠すテクニックです。ホテルに行くと、どこが光っているのか分からないけれど、なんとなく明るくて落ち着く……という空間が多いですよね。
自宅でこれを再現するのに一番おすすめな場所が、「テレビの裏」です。
シアターライティングのメリット
テレビの背面にLEDテープライトやバーライトを設置し、壁に向かって光を当てる手法を「シアターライティング(バイアスライティング)」と呼びます。これには、単にかっこいいというだけでなく、実用的なメリットがあります。
- 目の疲れを軽減する: 暗い部屋で明るいテレビ画面を見ると、輝度差(明るさの差)が大きすぎて目が疲れます。テレビ裏を光らせて壁の明るさを上げることで、この差を緩和し、目に優しい環境を作ります。
- 没入感が高まる: 画面の周囲がぼんやりと光ることで、画面が空中に浮いているような錯覚を起こし、映画やドラマへの没入感が格段にアップします。
- 高級感の演出: テレビという「家電」の存在感が、光の演出によって「インテリア」へと昇華されます。
テレビ裏以外にも、ベッドのヘッドボードの裏や、カーテンボックスの中に光を仕込むのも効果的です。光が壁をなめるように広がる「ウォールウォッシング」という手法を取り入れると、壁紙の質感もきれいに浮かび上がり、賃貸の部屋とは思えないグレード感が生まれます。
北欧風の温かみを演出する光の使い方
冬が長く日照時間が短い北欧の国々では、家の中で過ごす時間を何よりも大切にします。そんな北欧スタイルの照明計画の基本は、「一室多灯(いっしつたとう)」です。

日本の住宅のように、天井の大きなシーリングライト一つで部屋全体を隅々まで明るくするのではなく、必要な場所に必要な分だけ、小さな明かりを点在させるのが北欧流です。
「光の島」を作るイメージで
部屋の中に、いくつかの「光の島(プール・オブ・ライト)」を作るイメージを持ってみてください。
- ダイニングテーブルの上には、低めにペンダントライトを吊るして、料理を美味しく見せる島。
- ソファの横にはフロアランプを置いて、読書をするための島。
- 棚の上には小さなテーブルランプを置いて、お気に入りの雑貨を照らす島。
このように光を分散させることで、部屋の中に「明るい場所」と「暗い場所(影)」のグラデーションが生まれます。この陰影こそが、空間に立体感と温かみを与え、北欧特有の「ヒュッゲ(Hygge)」な居心地の良さを作り出すのです。
北欧デザインの照明器具は、木材やファブリックなど自然素材を使ったものが多く、明かりをつけていない昼間の時間帯でも、オブジェとして美しいのが特徴です。ルイスポールセンのように、光源が直接目に入らないようシェードが工夫されているものを選ぶと、長時間点けていても眩しさを感じず、穏やかな時間を過ごせます。
一人暮らしの女性におすすめの間接照明と実例
ここまでは、光の選び方や理想のスタイルについてお話ししてきました。「素敵だな、やってみたいな」と思っていただけたでしょうか?
ここからは実践編です。「じゃあ具体的に何を買って、どう設置すればいいの?」という疑問にお答えします。賃貸物件ならではの制約(壁に穴を開けられない、配線が隠せないなど)をクリアしつつ、誰でも簡単に理想の空間を作れる便利なアイテムとテクニックをご紹介します。
賃貸でも安心なテープライトの貼り方
間接照明のDIYにおいて、今や最強のアイテムと言えるのが「LEDテープライト」です。ハサミで好きな長さにカットでき、裏面の両面テープで貼るだけという手軽さが魅力ですが、賃貸ユーザーにとって最大の懸念は「剥がすときに壁紙が破れないか」ということでしょう。
テープライト付属の両面テープは粘着力が強力なものが多く、そのまま壁紙に貼ると、退去時に高確率で壁紙ごと剥がれてしまい、敷金から修繕費を引かれる……なんてことになりかねません。これを防ぐための鉄板テクニックをご紹介します。
必須アイテム:「マスキングテープ」による養生
壁を守るために必ず用意してほしいのが、100円ショップでも買える「マスキングテープ(マステ)」です。
失敗しない貼り方の手順
- 貼る場所を掃除する: テレビ裏や壁のホコリを拭き取ります。ホコリがあるとすぐに剥がれてしまいます。
- マスキングテープを貼る: ライトを貼りたい場所に、下地としてマスキングテープを貼ります。壁紙に近い色(白など)を選ぶと目立ちません。
- その上に両面テープを貼る: マスキングテープの上に、LEDテープライトの粘着面を貼り付けます。
この「マステサンドイッチ工法」なら、テープライトの強力な粘着力はマステが受け止め、壁紙にはマステの優しい粘着力が触れることになります。剥がすときは、マステごとゆっくりと剥がせば、壁紙を傷つけるリスクを大幅に減らせます。
注意点
マスキングテープも何年も貼りっぱなしにすると、糊が劣化して壁に残ることがあります。不安な場合は、DIY専門店などで売っている「賃貸用・貼って剥がせる両面テープ」を使用するのが最も確実です。
ニトリで人気のコスパ最強フロアランプ
これから初めて間接照明を買うなら、まずは身近な「ニトリ」をチェックしてみるのが賢い選択です。ニトリの照明は、日本の住宅事情(部屋の広さやコンセントの位置)をよく考えて作られており、何より「お値段以上」の実用性が魅力です。
おすすめは「スティック型フロアランプ」
私が特におすすめしたいのが、スティック状のシンプルなLEDフロアランプです。
このタイプの最大のメリットは、「場所を取らない」こと。土台が小さく設計されているので、ベッドと壁のわずかな隙間や、ソファの横、部屋のコーナーなどにスッと置くことができます。光源(LED)がバーの裏側に付いているタイプなら、壁に向けて置くだけで、簡単に美しい間接光のラインを作ることができます。
また、ニトリのシーリングライトの中には、木目調のリングがついたスポットライト型のものがあります。これは厳密には間接照明ではありませんが、4つのライトの向きを個別に変えられたり、リモコンで「2灯だけ点灯」などの切り替えができたりします。壁や天井に光を向けることで、シーリングライトでありながら間接照明のような雰囲気作りができる、非常にコスパの高いアイテムかなと思います。
IKEAのスマート電球で便利にする
デザイン性と機能性、そして未来的な便利さを手に入れたいなら、IKEAの照明システムが一押しです。特に、IKEAの照明器具とスマート電球「TRÅDFRI(トロードフリ)」シリーズを組み合わせると、生活の質が爆上がりします。
スマホやリモコンで光を操る
「トロードフリ」は、電球そのものが通信機能を持っています。これを導入すると、わざわざスイッチまで歩かなくても、手元の専用リモコンやスマホアプリで以下のことができるようになります。
- 調光(明るさの調整): 映画を見るときは暗く、メイクするときは明るく。
- 調色(色の変更): 昼間は白い光、夜はオレンジ色の光、といった切り替えが可能。
わざわざ高い調光器付きのスタンドライトを買わなくても、今あるクリップライトやテーブルランプの電球をこれに変えるだけで、スマート照明に進化させることができるんです。
おすすめ器具:FADO(ファード)
IKEAの照明器具の中で、一人暮らしの女性に絶大な人気を誇るのが「FADO(ファード)」です。
月のような球体のガラスランプで、余計な装飾が一切ない究極にシンプルなデザイン。床に直接置いても、棚の上に置いても様になります。ガラスを通した光が柔らかく、見ているだけで心が落ち着きます。価格も非常に手頃(1000円台〜2000円台 ※価格変動あり)なので、トロードフリ電球とセットで導入するデビュー機として最適です。
100均グッズでの簡単な作り方とDIY
「まずはお金をかけずに、間接照明がどんなものか試してみたい」。そんな慎重派さんは、ダイソーやセリアへ行きましょう。最近の100均の照明コーナーはクオリティが高く、DIYの素材としても非常に優秀です。
セリアの「ムーンライト」で作る韓国風スタンド
SNSで話題になったのが、セリアの「ムーンライト」を使ったプチDIYです。これは手のひらサイズの、月の表面を模した電池式のライトです。
これ単体でも可愛いのですが、同じく100均で売っている「アイアン製のワイヤースタンド」や「ガラスのキャンドルホルダー」の上に乗せてみてください。それだけで、数百円とは思えない高見えするスタンドライトに早変わりします。
さらに、スタンドの足元にフェイクグリーン(造花)を巻き付けて、電池ボックスやスタンドの無機質な部分を隠すと、よりナチュラルで韓国インテリアっぽい雰囲気になります。
ダイソーのUSBテープライト
ダイソーでは、330円〜550円程度で「テープライト」が手に入ります。これはUSB給電式なので、スマホの充電器やモバイルバッテリーに挿すだけですぐに使えます。
長さは1m〜2m程度のものが多く、テレビの裏やベッドの下、キッチンの吊戸棚の下などに貼るには十分な長さです。リモコン付きの高機能なものと比べると機能はシンプルですが、「テレビ裏を光らせるとどうなるか」を実験するには十分すぎるクオリティです。DIY初心者さんの入門編として、これ以上ないアイテムと言えるでしょう。
一人暮らしの女性は間接照明で生活を整える
ここまで、一人暮らしの女性に向けた間接照明の選び方や、具体的な楽しみ方をご紹介してきました。
私自身、照明を変えてから一番変わったのは、「家に帰るのが楽しみになったこと」です。以前はただ寝るためだけの場所だった部屋が、間接照明のスイッチを入れた瞬間、自分を癒やしてくれる最高のリラックス空間に変わる。その感覚を知ってからは、仕事のストレスも以前より上手に受け流せるようになった気がします。
間接照明は、単におしゃれに見せるためのツールではありません。それは、忙しい毎日の中で乱れがちな自律神経を整え、自分自身をいたわるための大切なパートナーです。
最初から高価なものを揃える必要はありません。まずは100均のライトひとつ、あるいはクリップライトひとつからでも構いません。部屋の隅に、あなたの心を温める「光の溜まり」を作ってみてください。その小さな光が、明日のあなたを少しだけ元気にしてくれるはずです。
最後に:安全のために
コンセントや配線周りにホコリが溜まると、「トラッキング現象」による火災の原因になることがあります。テレビ裏やベッド下など、普段目につかない場所こそ、定期的なお掃除を忘れずに行ってくださいね。安全に配慮しながら、素敵なライティングライフを楽しんでください。


