こんにちは。照明セレクション、運営者の「ミト」です。
夜のリラックスタイムや作業中に、ふと天井を見上げたらLED電球がチカチカするといった経験はありませんか。せっかく省エネで長持ちするはずのLEDなのに、なぜこんなに不快なちらつきが起きるのか、原因や直し方がわからなくて不安になりますよね。
実は、このチカチカする現象には、電球そのものの寿命だけでなく、お部屋のスイッチや調光器との相性、さらにはお風呂場などの使用環境といった様々な理由が隠されています。この記事では、LED電球がチカチカする問題に直面している方に向けて、私自身の調べた知識をもとに、点滅の正体やトラブルの解消法をわかりやすくまとめました。
パナソニックなどの主要メーカー製品への交換タイミングや、電気工事が必要なケースについても触れています。この記事を読み終える頃には、あなたの家の明かりを快適に取り戻すヒントが見つかるはずですよ。
LED電球がチカチカする主な原因と故障の見極め方

LEDがチカチカと点滅を繰り返すとき、そこには必ず何らかの電気的なミスマッチや部品の悲鳴が隠れています。まずは、なぜこのような現象が起きるのか、その主な原因を掘り下げて見ていきましょう。
寿命による劣化で点滅が起こる電気的な仕組み
LED電球は「半永久的に使える」と思われがちですが、実は中身の電子回路には寿命があります。LEDチップ自体は丈夫でも、それを光らせるための「ドライバ回路」が先に限界を迎えてしまうんですね。特に重要なのが「アルミ電解コンデンサ」という電気を蓄えて平滑化する部品です。
アルミ電解コンデンサーの寿命は、45℃の環境で10年程度。
PC-EXPARTより引用
固体コンデンサーの寿命はアルミ電解コンデンサーより長く、その4倍程度。
この部品には寿命があり、周囲の温度が高いほど劣化が早まる「アレニウスの法則(10℃二倍則)」という性質があります。つまり、使用環境が10℃上がると、寿命は半分になってしまうというシビアな世界なんです。
私たちが普段使っている電気は交流(AC)ですが、LEDチップ自体は直流(DC)でしか光りません。そのため、内部でACをDCに変換しているのですが、回路内のコンデンサが劣化して「ドライアップ(電解液の蒸発)」を起こすと、電気の波をきれいに平らにできなくなります。
その結果、光の中に商用電源由来の波が残ってしまい、人間の目に見えるほどの「脈流」となってチカチカが現れるようになります。これを専門的には「リップル電流の重畳」と呼びますが、要するに「電気が不安定なままチップに届いている状態」ですね。
購入当初は全く問題なかったのに、数年経ってから突然チカチカし始めたという場合は、この回路の寿命である可能性が非常に高いです。これは単なる電球の寿命告知ですので、無理に使い続けず、新しいものへ交換するサインだと捉えてください。
一般的にLED電球の寿命は40,000時間とされていますが、これはチップの寿命であって、電源基板の寿命はこれより短いことが多いです。特に高温になる場所では劣化が早まるので注意が必要ですね。
白熱灯用の調光器との相性が引き起こす動作不良
壁に付いているツマミで明るさを変えられる「調光器」を使っている場合は、特に注意が必要です。昔の白熱電球用に設計された調光器は、交流の波形を一部カットしてエネルギーを調整する「位相制御(トライアック)」という方式を採用しています。これがLEDにとっては非常に厄介な相性問題を引き起こします。
白熱電球は電気をたくさん使う「抵抗負荷」なので、電流が安定して流れます。しかし、LED電球は非常に少ない電力で動く「非線形負荷」です。
調光器を絞って明るさを暗くしていくと、回路に流れる電流が調光器のスイッチ(トライアック)をオンに保つために必要な「保持電流」を下回ってしまう瞬間が発生します。すると、調光器が勝手にオフになり、またすぐにオンになるといった動作を高速で繰り返してしまいます。これがチャタリングと呼ばれる激しい点滅の正体です。
また、LEDドライバ内部のフィルタ回路(LとC)が、調光器の急激な電圧変化に反応して「リンギング」という電気的な振動を起こすこともあります。
明るさを最大にしているときは平気なのに、少し暗くした途端にLED電球がチカチカするというなら、それはまさに調光器とのミスマッチが原因かなと思います。この場合、電球側が「調光器対応タイプ」であっても、調光器自体の設計が古すぎると相性が出ることもあるため、非常にデリケートな問題なんですね。
ホタルスイッチが招くゴースト点灯と点滅現象
暗闇でもスイッチの場所がわかるように、小さなランプが点灯する「ホタルスイッチ」って便利ですよね。

でも、これがLED電球にとっては天敵になることがあります。スイッチをオフにしている間も、ホタルスイッチ内のネオン管やLEDを光らせるために、回路には数十~数百マイクロアンペアという微弱な電流が常に流れているからです。
白熱電球の場合、この程度の微弱な電流ではフィラメントが温まらず、何も起きません。しかし、効率のいいLED電球の場合、この漏れ出た微弱な電気がドライバ回路の入力コンデンサに少しずつ貯まってしまいます。そして、コンデンサの電圧がある一定(起動電圧)に達した瞬間、回路が「よし、点灯できる!」と判断してLEDを一瞬だけ光らせます。でも、貯まった電気は一瞬で空っぽになるため、すぐに消灯してしまいます。
この「微弱な充電 → 限界突破で発光 → 放電して消灯」というサイクルが数秒から数十秒おきに繰り返されるのが、いわゆる「ゴースト点灯」と呼ばれる不気味な点滅です。
スイッチを切っているのに深夜にパッパッと光る現象に悩まされているなら、まず間違いなくホタルスイッチとの干渉を疑ってみてください。これは電球が壊れているわけではなく、照明回路全体の仕組み上の問題なんですね。
接触不良やソケットの汚れによる電圧の不安定化
意外と見落としがちなのが、物理的な接触不良です。電球をソケットにねじ込む際、最後までしっかり締め切っていないケースや、長年の使用でソケット内部の金具が酸化して「サビ」や「汚れ」が付着しているケースがあります。これにより、電気が流れる道に抵抗が生まれ、電圧が不安定になります。
電気の流れが断続的になると、LEDドライバ回路は起動と停止を繰り返すため、不規則でイライラするようなチカチカが発生します。また、照明器具自体の経年劣化も見逃せません。
ソケット内部の板バネが熱でへたってしまい、電球との接触圧が弱くなると、わずかな振動や建物の揺れで接触が途切れるようになります。電球の根元を少し触ったり、壁を叩いたりしただけで明かりが変化する場合は、この接触不良が原因である可能性が高いです。
さらに怖いのが「アーク放電」のリスクです。接触が悪い場所で電気が無理に飛び越えようとすると火花が発生し、それが熱となってソケットを溶かしたり、最悪の場合は発火に繋がったりします。チカチカするだけでなく、焦げたような跡がソケットにある場合は非常に危険です。接触の問題は単なる不具合ではなく、安全に関わる重大なサインとして捉えるべきですね。
ソケット内部を確認する際は、必ずブレーカーを落とすかスイッチをオフにしてください。感電の恐れがあるので、素手で中の端子に触れるのは絶対にNGですよ!
密閉器具内での熱による基板や部品の故障
お風呂場のライトや、ガラスカバーですっぽり覆われたシーリングライトなど、熱がこもりやすい「密閉器具」に普通のLED電球を使っていませんか。実はこれが、LEDの寿命を縮める最大の要因の一つです。LEDは「光」には熱を含みませんが、光を生み出す根元の半導体(LEDチップ)や、電圧を変換する回路基板はかなりの熱を発します。
開放型の器具であれば空気の対流で冷やされますが、密閉された空間だと熱が逃げ場を失い、器具内の温度がどんどん上昇します。すると、ドライバ回路内の電子部品が耐熱限界を超えてしまい、動作が不安定になります。
これが原因で「点灯して10分くらい経つとLED電球がチカチカし始める」といった、熱に起因する症状が出るわけです。これは「熱暴走」の初期段階とも言えますね。
熱によるダメージを受けた部品は、一度冷めても元の性能には戻りません。徐々にダメージが蓄積され、最終的には点灯しなくなります。「密閉型器具対応」と書かれていない安価な電球をカバー付き器具で使っている場合は、設計段階での放熱処理が追いついていないことがほとんどです。使用場所に合わせたスペック選びが、LEDを本来の寿命まで全うさせるための必須条件となります。
LED電球がチカチカする不具合への対策と安全管理

原因がなんとなく分かってきたところで、次は具体的な対策についてお話しします。自分で行えるチェックから、プロに頼むべき境目まで、安全を第一に考えて進めていきましょう。
故障か環境かを確認する簡単なクロステストの手順
「この電球、壊れてるのかな?」と迷ったら、まずはクロステスト(交差検証)をしてみるのが一番の近道です。これは、原因が「電球側」にあるのか「家側の設備(ソケットやスイッチ)」にあるのかを切り分けるための最も確実な診断方法です。やり方はとってもシンプルで、専門知識も道具もいりません。
具体的なクロステストの手順
- チカチカが発生している電球を外します。
- その電球を、家の中の「別の場所」に取り付けてみます。例えば、調光器がない廊下のダウンライトや、トイレのソケットなどが最適です。
- 逆に、別の場所で正常に点灯していた電球を、チカチカが起きた元のソケットに取り付けてみます。
| 診断テストの結果 | 推測される原因 | 必要な対応 |
|---|---|---|
| 場所を変えてもチカチカする | 電球自体の寿命・初期不良 | 新しいLED電球に買い替える |
| 別の場所では正常に点灯する | 元の場所の環境 (調光器・スイッチ・相性) | スイッチ交換や、専用電球への変更 |
| 別の電球を付けてもチカチカする | 器具側の故障・接触不良 | 照明器具の交換または電気工事 |
これで原因がはっきりしますね。もし電球が原因なら、単純に交換するだけで解決するので一安心です。しかし、もし別の電球でも同じ症状が出るなら、それは壁のスイッチや配線、あるいは器具自体が悲鳴を上げている証拠ですので、専門的な修理が必要になります。
断熱材施工器具や防水仕様に適した正しい選び方
LED電球を選ぶときは、明るさ(ルーメン)だけでなく、パッケージのアイコンをしっかりチェックしましょう。実は、LEDの不具合の多くは「間違った場所での使用」から来ています。特に天井に埋め込まれているダウンライトの場合、天井裏に断熱材が敷き詰められていることが多く、これを「断熱材施工器具」と呼びます。

ここには、熱対策が強化された「Sマーク付器具対応」の電球を選ばないと、熱で短期間にLED電球がチカチカするようになります。
また、お風呂場や洗面所など、湿気が多い場所も鬼門です。こうした場所では、湿気が基板に侵入してショートするのを防ぐために「密閉型器具対応」かつ「防湿型対応」のスペックが必須となります。最近では、より詳細なLED電球の選び方について解説した記事も増えていますので、不安な方はLED電球の正しい選び方ガイドなどを参考に、自分の家の器具に合ったものをチョイスしてくださいね。
単に「安かったから」と非対応品を使ってしまうと、結局は数ヶ月で買い直すことになり、コストパフォーマンスも安全性も損なわれてしまいます。自分の家の照明器具が「Sマーク」付きなのか、カバー付きの「密閉型」なのかを一度確認してみるのが、トラブル回避の第一歩です。
パナソニックなど大手メーカーの推奨製品と比較
正直なところ、100円ショップや格安のLED電球は、電源回路が極限まで簡略化されていることが多いです。そのため、ちょっとした電圧の変動やノイズに弱く、すぐに寿命が来たりチカチカしたりする傾向があります。一方で、パナソニックや東芝ライテックといった国内大手メーカーの製品は、「フリッカー抑制回路」や「優れた放熱構造」に多額のコストをかけています。
例えば、パナソニックの「プレミアX」シリーズなどは、熱に弱いコンデンサを熱源であるチップから物理的に離して配置したり、熱伝導性の高いアルミダイカスト筐体を採用したりしています。

これにより、40,000時間の長寿命を実力値として担保しているんですね。また、大手メーカー品は「調光器との互換性」テストも非常に厳密に行われており、公式サイトで適合表が公開されていることがほとんどです。
特に「調光器対応」や「密閉型対応」といった過酷な環境で使う場合は、信頼できるメーカー品を選ぶのが結局はお得で安心です。5年保証がついている製品も多いので、レシートと箱を保管しておけば、万が一短期間でチカチカしても無償交換してもらえるメリットがあります。長期的な視点で見れば、大手メーカーの高品質モデルを選ぶのが一番賢い選択かも。
発火リスクを回避するための異常時のチェック項目
LED電球がチカチカするのを「ただの不快な現象」として放置するのは、実は安全面でリスクがあります。特に格安製品や海外製の一部には、サージ対策(落雷などの電圧上昇対策)が不十分なものがあり、回路がショートした際に安全に遮断されない事例が報告されています。消費者庁の事故データバンクにも、LED照明に関連する火災事故が一定数記録されているんです。
(出典:消費者庁『照明器具の火災事故に注意』)
具体的に以下の症状が出ていないか、すぐに確認してください。
これらの症状がある場合は、すぐに壁のスイッチを切り、使用を中止してください。そのまま使い続けると、周囲の断熱材や器具のプラスチックに着火し、重大な火災に繋がる恐れがあります。
LEDは火災リスクが低いと思われがちですが、電気機器である以上、異常時は早急な対処が必要です。正確な不具合情報はメーカーの公式サイト等でリコール情報を確認することも非常に大切ですね。
電気工事士によるスイッチや調光器の根本的な修理
「電球を新しく替えたのに、やっぱりLED電球がチカチカする!」という場合は、もう電球側の問題ではありません。お部屋の「電気の通り道」そのものに原因があります。特に築20年以上のお宅で、昔の白熱灯用調光器をそのまま使っている場合、LEDに対応した最新の「LED専用調光スイッチ」へ交換することで、劇的に改善することが多いです。
最新のスイッチは、LED特有の小さな電流をうまく制御できるように設計されており、下限照度の設定(これ以上暗くしないという設定)なども可能です。また、ホタルスイッチの影響でゴースト点灯が起きる場合は、照明器具に「防止用コンデンサ」を取り付けることで、余分な漏れ電流を逃がして点滅を止めることができます。
ただし、注意点が一つ。壁の中の配線をいじったり、スイッチを交換したりするには、「第二種電気工事士」以上の国家資格が法律で義務付けられています。
【スイッチ】スイッチから電線をはずす方法を、教えてください。
下記の内容を、ご確認ください。
パナソニック公式より引用
但し、スイッチの接続工事には国家資格の「電気工事士」の免許が必要です。
無資格でのDIYは非常に危険ですし、火災時の保険が下りない原因にもなります。無理に自分で解決しようとせず、必ず近所の電気店やリフォーム業者に相談してください。「LEDに替えたらチカチカするんだけど……」と言えば、プロの目で配線や電圧をチェックして、適切な修理を行ってくれるはずですよ。
LED電球がチカチカするトラブルの解決策まとめ
今回は、LED電球がチカチカする原因とその対策について詳しくご紹介しました。最後に重要なポイントをおさらいしておきましょう。
まず、チカチカの原因は電球自体の寿命だけでなく、調光器やホタルスイッチとの電気的な相性、さらには熱による回路のダメージが大きく関係しています。まずは「別のソケットに付け替える」というクロステストを試してみて、電球側の問題なのか、お部屋側の設備の問題なのかを見極めることが解決への第一歩となります。
もし電球を新しく買い替えるなら、お風呂やダウンライト、調光器の有無といった「使用環境」に完全に適合したスペックを選ぶことを忘れずに。パナソニックなどの信頼できるメーカーの「5年保証」付きモデルを選べば、安心感も格段に違います。
そして、もし異音や異臭がする場合は、迷わず使用を中止して専門家に相談してください。安全で心地よい明かりを保つためにも、正しい知識を持って冷静に対処していきたいですね。この記事が、あなたの家のLED電球がチカチカするという悩みをスッキリ解決する手助けになれば嬉しいです!
※記載している数値や仕様は一般的な目安です。実際の取り付けや修理に関しては、必ず各製品の取扱説明書を確認し、最終的な判断は電気工事店などの専門家にご相談ください。安全第一で快適な照明ライフを送りましょう!
