こんにちは。照明セレクション、運営者の「ミト」です。
備え付けの照明や愛車のルームランプが白すぎて落ち着かないと感じることはありませんか。青白い光は作業には向いていますが、リラックスしたい時や雰囲気を重視したい空間には少し冷たい印象を与えてしまいますよね。
そんな時に便利なのがLEDを電球色に変えるフィルムですが、わざわざ専用の高い製品を買うべきか、それともダイソーやセリアなどの100均にあるグッズで代用できるのか迷ってしまう方も多いはずです。
また、照明器具は熱を持つため、耐熱性のある素材を選ばないとフィルムが溶けたり焦げたりする危険性も気になるところです。この記事ではそんなお手軽に電球色に変えられるアレンジ方法をまとめました。
100均で自作!LEDを電球色に変えるフィルム代用術

まずは、できるだけコストをかけずに手近なもので何とかしたいという方向けに、身近なショップで手に入る素材を使ったDIY手法について見ていきましょう。数百円で済む手軽さが魅力ですが、素材選びを間違えると失敗の原因になります。
ダイソーやセリアで探す代用素材
「今の照明、ちょっと白すぎて目が疲れるな…」そう感じて部屋の雰囲気を変えたいと思ったとき、真っ先に足が向くのはやっぱりダイソーやセリア、キャンドゥといった100円ショップではないでしょうか。私もDIYを始めたばかりの頃は、何かと理由をつけては100均の通路をウロウロしていたものです。
実際に店舗の文具コーナーやラッピングコーナー、あるいは工作用品の棚に行ってみると、私たちの目的に使えそうなアイテムがいくつも見つかります。代表的なのが「カラーセロハン」ですね。

赤、青、緑、黄色と5色セットで売られているアレです。それから、「透明折り紙」や「ギフトラッピング用のフィルム」なんかも、透明度が高くて光を通しそうに見えます。最近では推し活グッズコーナーにも、ペンライトの色を変えるためのカラーフィルムが置いてあることもあります。
これらを手に取ってLED照明にかざしてみると、確かに眩しい白い光が、なんとなく暖かみのある黄色やオレンジ色に変わります。「お、これで十分じゃん!」と感動する瞬間です。たった110円で、味気ない白い部屋がカフェのようなおしゃれな空間に変わる(かもしれない)未来を想像するとワクワクしますよね。
しかし、ここで冷静になってパッケージの裏面を見てみてください。そこには必ずと言っていいほど、「高温になる場所には使用しないでください」「火気の近くでは使用しないでください」といった注意書きが小さな文字で書かれています。
そうなんです、これらの商品はあくまで「工作」や「プレゼントの包装」を目的として作られており、照明器具という「熱源」に貼り付けることを想定した設計にはなっていないのです。
数百円で手軽に試せるというメリットは計り知れませんし、「ちょっと一晩だけ試してみたい」というレベルなら大きな問題にはならないかもしれません。でも、これをリビングのメイン照明や、長時間点灯し続ける常夜灯に本格的に導入しようとすると、素材の耐久性や安全性の面でどうしても不安が残ります。
「代用」はあくまで自己責任の世界。まずはショップで手に入る素材が、本来どういう用途で作られたものなのかを理解した上で、慎重に選ぶ必要があるんですね。
100均セロハンは溶ける?危険な理由
では、100均で手に入る一般的なカラーセロハンやラッピングフィルムを、照明のフィルターとして長期間使い続けると、具体的にどのようなことが起こるのでしょうか。ここには「熱による物理的な破壊」と「光による化学的な劣化」という、2つの大きなリスクが潜んでいます。
まず「熱」の問題です。「LEDは熱くならないエコな照明」だと思っていませんか? 確かに昔の白熱電球のように触った瞬間に火傷するような熱さは持ちませんが、それは光が出る表面の話。
LEDチップそのものや、電流を制御する基盤部分は、点灯中に60℃から80℃、密閉された器具内ではそれ以上の高温になることが珍しくありません。一方で、一般的なセロハンの主成分であるセルロースや、安価なポリプロピレンなどのフィルムは、熱に対して非常に脆弱です。
これらをLED照明に直接貼り付けると、毎日の点灯と消灯による「加熱」と「冷却」のサイクルが繰り返されます。すると、フィルムは徐々に水分を失い、プラスチックとしての柔軟性を失ってパリパリに硬化します。最終的にはひび割れてボロボロになったり、最悪の場合は熱に耐えきれずに焦げて炭化し、煙が出てしまうことさえあります。
紙やフィルムが焦げる温度は意外と低いのです。
火災リスクと注意喚起
照明器具に可燃性の紙やフィルムを不用意に取り付ける行為は、器具の放熱を妨げ、内部部品の異常発熱を引き起こす原因となります。製品評価技術基盤機構(NITE)などの公的機関も、照明器具の不適切な取り扱いによる発煙・発火事故について繰り返し注意を呼びかけています。
■「不適切なランプ交換による事故」を防ぐための3つのポイント
https://www.nite.go.jp/jiko/chuikanki/press/2024fy/prs250327.html
①蛍光灯器具の点灯方式に応じたLEDランプを選定する。
②LEDランプのパッケージや取扱説明書に記載されている注意事項を守って作業する。
③ランプ交換後、異常がないか確認をする。
特に白熱電球への使用は火災に直結するため厳禁ですが、LEDであっても放熱穴を塞ぐような貼り方は非常に危険です。
(出典:製品評価技術基盤機構 NITE『さらば蛍光灯、ようこそLED ~でもランプ交換 ミスると事故に~』)
次に「退色(色抜け)」の問題です。実はこれが一番よくある失敗例かもしれません。セロハンに使われている染料は、強い光エネルギーに弱く、特にLEDに含まれる強力な青色光や微量の紫外線を浴び続けると、分子構造が破壊されてしまいます。
貼った当初はきれいなオレンジ色だったのに、1週間、2週間と経つうちに色が薄くなり、1ヶ月後には「ただの透明なカサカサしたゴミ」が張り付いているだけ…なんてことになりかねません。これでは、せっかくのDIYの労力が水の泡ですよね。
カプトンテープが最強の代用品
「じゃあ、安くて熱に強くて、色が抜けない都合のいい素材なんてないの?」と思われるかもしれませんが、実はあるんです。DIY上級者や電子工作好きの間では「最強の代用品」として密かに、しかし絶大な信頼を得ているアイテム。それが「カプトンテープ(ポリイミドテープ)」です。

この名前、初めて聞く方も多いかもしれません。カプトンテープとは、もともと宇宙開発や最先端の電子機器のために開発された「ポリイミド」というスーパーエンジニアリングプラスチックで作られたテープです。スマホやパソコンの内部基板の絶縁や、3Dプリンターの加熱ベッドの保護など、過酷な環境で使われるプロユースの資材なんですね。
このカプトンテープがなぜLEDの色変えに最適なのか、理由は3つあります。
まず連続使用温度は200℃以上、短時間なら400℃近くまで耐えられます。LEDの発熱が80℃程度だとしても、カプトンテープにとっては「ぬるま湯」のようなもの。溶けたり焦げたりする心配はまずありません。
さらにポリイミド樹脂は、その特性上、可視光線のうち青色や紫色の波長を強く吸収し、結果として「透き通った琥珀色(アンバー)」に見えます。これが、青白いLEDの光から青成分だけをカットし、温かみのある電球色を作り出すのに驚くほど適しているのです。
そして工業用資材なので耐久性は折り紙付き。光による退色もほとんどなく、一度貼れば数年はメンテナンスフリーで使い続けられます。
以前は秋葉原の専門店や工業系の通販でしか買えませんでしたが、最近ではAmazonなどのネット通販で数百円から手に入りますし、驚くことに一部の大型100円ショップ(ダイソーなど)でも、工具売り場や電気小物売り場に「耐熱テープ」という名前で並ぶようになりました。

もしお店で見かけたら、迷わずカゴに入れることをおすすめします。セロハンとは次元の違う安心感が手に入りますよ。
車のルームランプへの貼り方とコツ
「夜、車の中で地図を見たり探し物をしたりするとき、ルームランプが白すぎて目が痛い…」「純正のLEDが安っぽくて、もっと高級車のような温かい光にしたい」そんな悩みを持つドライバーの方にも、カプトンテープは救世主となります。ここでは、車のマップランプやルームランプに特化した施工テクニックを深掘りしていきましょう。
車内のDIYで一番大切なのは、「LEDチップ(発光体)に直接貼るのではなく、レンズカバーの内側に貼る」という鉄則を守ることです。カプトンテープ自体は熱に強いので、LEDチップに直接貼り付けてもテープが燃えることはまずありません。しかし、LEDチップ自体は放熱が必要です。テープを直貼りしてしまうと熱の逃げ場がなくなり、LEDチップの寿命を縮めたり、光量が低下したりする原因になります。
具体的な手順は以下の通りです。
| 手順 | 詳細な作業内容 |
|---|---|
| 1. カバーを外す | 内張り剥がしや精密ドライバーを使い、ルームランプのプラスチックカバーを取り外します。 ツメを折らないように慎重に。 |
| 2. 脱脂・清掃 | カバーの内側(電球側)をアルコールやパーツクリーナーで拭き、油分やホコリを完全に除去。 これだけで仕上がりが段違いです。 |
| 3. 貼り付け | カバーの内側にカプトンテープを貼ります。 気泡が入らないように、スマホの保護フィルムを貼る要領で端からゆっくり押さえます。 |
| 4. 色味の調整 | 一度カバーを戻して点灯確認します。 もし色が薄いと感じたら、テープを2枚、3枚と重ねて貼ってみてください。 重ねるごとに色が濃くなり、ナトリウムランプのような濃厚なオレンジ色に変化します。 |
この「レンズカバーの裏に貼る」方法なら、外側からはテープを貼っていることが見えず、見た目も純正そのもの。さらに、飽きたらテープを剥がすだけで元に戻せるので、リセールバリュー(売却時の査定)を気にする方にも最適です。
眩しい光を和らげる減光効果
LEDを電球色に変えるフィルムを貼ることには、単に色温度を下げるだけでなく、実はもう一つ、生活の質(QOL)を大きく向上させる隠れたメリットがあります。それが「減光(ディフューズ)効果」によるグレアの低減です。
「グレア」とは、視野の中に極端に明るい光源があるときに感じる「不快な眩しさ」のこと。最近のLED照明は省エネで高輝度な反面、光の指向性が強く、直線的で鋭い光を放ちます。これが直接目に入ると、目がチカチカしたり、疲れ目の原因になったりします。特にリラックスしたい寝室や、夜間のドライブ中の車内では、この鋭い光がストレスになりがちです。
ここにカプトンテープや専用のフィルムを一枚挟むとどうなるでしょうか。フィルムの素材自体や、粘着層がわずかに光を乱反射させることで、光の「角」が取れてマイルドになります。
これをカメラ用語や照明用語で「ディフューズ(拡散)」と呼びます。
例えば、トレーシングペーパー越しに太陽を見ると眩しくないのと同じ原理ですね。色が温かくなる視覚効果と、光が柔らかくなる物理効果が合わさることで、まるで高級ホテルの間接照明のような、しっとりとした上質な空間が生まれます。単に「色を変える」だけでなく、「光の質を変える」ことができる。これこそが、フィルム施工の真の醍醐味と言えるかもしれません。
本格派のLEDを電球色に変えるフィルム活用術

ここまでは、DIY精神溢れる方向けにコストパフォーマンス重視の手法をご紹介してきました。しかし、「リビングのメイン照明だから見た目を絶対に損ないたくない」「失敗して照明器具を壊すリスクはゼロにしたい」という方もいらっしゃるでしょう。
ここからは、プロの現場でも使われる、確実で安全な「本物」のソリューションをご紹介します。
形状記憶のルミネカラーを選ぶ理由
もしあなたが、オフィスや店舗のオーナーだったり、あるいは自宅の蛍光灯型LEDをスマートに電球色に変えたいと考えているなら、迷わず検討すべき製品があります。「ルミネカラー」です。
照明業界や内装デザインの世界では定番中の定番アイテムですが、一般の方にはあまり知られていないかもしれません。
このルミネカラー、最大の特徴にして最強の武器が「形状記憶加工」です。普通のフィルムはペラペラのシート状なので、貼るためにはテープや糊が必要ですよね。しかしルミネカラーは、特殊な熱処理によって、最初から「くるん」と丸まった円筒形を記憶しているのです。
使い方は魔法のように簡単です。直管型のLEDランプや蛍光灯に、ルミネカラーをパカッとはめ込むだけ。接着剤もテープも工具も一切不要。まるでランプに服を着せるような感覚で、一瞬にして装着が完了します。この「非接着」という構造には、単に楽だという以上のメリットがあります。
DIYのカプトンテープに比べれば数千円のコストはかかりますが、設置の手間、見た目の美しさ、そして付加機能まで含めて考えれば、その投資価値は十分にあると言えるでしょう。特に「失敗したくない」という心理的コストを下げる意味でも、ルミネカラーは賢い選択です。
耐熱性能を確認して火災を防ぐ
商用の照明用フィルムを選ぶ際も、やはり一番気にするべきは「耐熱性」と「難燃性」です。ここを疎かにすると、取り返しのつかない事故につながりかねません。
プロの撮影現場や演劇の舞台を見たことはありますか? あの強烈なスポットライトの前には、色を変えるための「カラーフィルター(通称:ジェル)」が装着されています。世界的に有名なブランドである「LEE(リー)」や「Rosco(ロスコ)」のフィルターは、数千ワットという灼熱のライトの前で使われることを前提に設計されています。
これらのプロ用フィルターは、耐熱ポリエステルやポリカーボネートをベースにしており、非常に高い耐熱性を持っています。さらに重要なのが「難燃性(自己消火性)」です。
劇場や映画/TV の高温の照明器具の下でも可能な限り長い寿命を実現します。このユニークな製造プロセスにより、スーパージェルは比類のない耐熱性、色安定性、難燃性を実現します。
日本コーバンより引用
これは、万が一火がついたとしても、火源がなくなれば自然に火が消える、あるいは燃え広がらない性質のことです。
家庭用のLED照明であっても、内部の回路がショートして火花が散る可能性はゼロではありません。そんな時、100均のセロハンなら一瞬で引火して火種になりますが、難燃性のプロ用フィルターなら延焼を食い止める壁になってくれるかもしれません。寝室や子供部屋など、就寝中に点灯しておく場所の照明には、こうした安全基準を満たした製品を使うのが、家族を守るための隠れた必須条件かなと思います。
撮影用照明フィルターの流用方法
「プロ用の機材なんて、どこで買えばいいの?」と思うかもしれませんが、実はAmazonやヨドバシカメラなどのカメラ用品コーナーで、撮影用のカラーフィルターを1枚単位で購入することができます。これを家庭用に流用するのが、通好みの賢いテクニックです。

撮影用フィルターの素晴らしい点は、色の変化が数値で厳密に管理されていることです。例えば「CTO(Color Temperature Orange)」というシリーズがあります。これは「色温度を温かいオレンジ色に変換する」ための専用フィルターです。
「Full CTO(フルCTO)」を使えば、青白い昼光色(6500K)を、夕日のような電球色(3000K付近)にガッツリ変換できます。「いや、そこまでオレンジじゃなくていい、少し温かみを足したいだけ」という場合は、「1/2 CTO」や「1/4 CTO」といった薄めのフィルターを選ぶことで、微調整が自由自在なのです。
施工方法は少し工夫が必要です。これらのフィルターには粘着剤が付いていません。ダウンライトであれば、カバーの内側に円形に切って置くだけでOKな場合もありますが、基本的には耐熱テープを使って固定します。
この時、普通のセロハンテープは熱でドロドロになるのでNG。ここでもやはり、あの「カプトンテープ」や、撮影現場で使われる糊残りの少ない「パーマセルテープ(シュアーテープ)」を使って、照明器具の縁(フチ)に固定するのが正解です。
賃貸でも安心な原状回復の工夫
賃貸マンションにお住まいの方にとって、壁や設備への「現状変更」は悩みの種です。「退去時に敷金から引かれたくない…でも、今の照明はダサすぎて耐えられない!」というジレンマ、よく分かります。
備え付けのシーリングライトやダウンライトにフィルムを貼る場合、直接強力な両面テープで貼ってしまうと、剥がすときに糊が残ったり、最悪の場合、器具の塗装が一緒に剥がれてしまったりするリスクがあります。これを防ぐために、プロの内装業者が使う「下地保護」のテクニックを応用しましょう。
| ステップ | 原状回復を完璧にする貼り方 |
|---|---|
| Step 1 | まずは照明器具の貼りたい場所に、糊残りの少ない「マスキングテープ(養生テープ)」を貼ります。これが下地(保護層)になります。 |
| Step 2 | そのマスキングテープの上に、強力な「両面テープ」を貼ります。 |
| Step 3 | 最後に、その両面テープの上にカラーフィルムを貼り付けます。 |
この「マスキングテープ・サンドイッチ工法」を使えば、フィルムを固定する力は強力な両面テープが担い、器具と接する面は優しいマスキングテープが担うことになります。
剥がすときは、一番下のマスキングテープごとペロリと剥がせば、器具には一切の糊も傷も残りません。これなら、厳しい管理会社のチェックも怖くありませんね。
【総括】LEDを電球色に変えるフィルム
長くなりましたが、最後にこれまでの内容を整理して、あなたに最適な選択肢を提案します。
まず、「とにかくコストを抑えたい」「車のルームランプや足元灯など、小さな部分を自分好みにカスタムしたい」というDIY派のあなた。100均やホームセンターで「カプトンテープ(ポリイミドテープ)」を探してください。普通のセロハンテープとは比較にならない耐熱性と、美しいアンバー色は、あなたの期待を裏切りません。
一方で、「リビングや店舗の照明全体をきれいに変えたい」「安全性を最優先し、火災リスクは絶対に排除したい」「賃貸だから跡を残さず、手間なく設置したい」という慎重派のあなた。初期費用は少しかかりますが、「ルミネカラー」などの照明専用製品を選んでください。その手軽さと安心感は、価格以上の価値をもたらしてくれます。
照明の色一つで、部屋の空気感は劇的に変わります。冷たい会議室のような部屋が、一瞬でくつろげるバーのような空間に変わる魔法。ぜひ、あなたのライフスタイルに合った方法で、理想の「明かり」を手に入れてくださいね。

