こんにちは。照明セレクション、運営者の「ミト」です。
リビングでくつろいでいるときや、ふと廊下を通ったときに、LED電球の点滅やちらつきが気になったことはありませんか。電球の直し方や原因がわからないと、ただの故障なのか、それとも電気配線のトラブルなのか判断できず不安になってしまいますよね。
実は、スイッチを切っても薄く光る現象やチカチカする症状には、それぞれ明確な理由と対処法が存在します。
この記事では、私が照明について学ぶ中で得た知識をもとに、誰でも安全に試せる確認ステップと、快適な明かりを取り戻すためのヒントをわかりやすくお伝えします。
LED電球の点滅症状の直し方と原因の特定

LED電球が点滅してしまう原因は、実は電球そのものの故障だけではないんです。ここでは、まず最初に疑うべきポイントから、少し専門的な電気の相性問題まで、点滅が起こるメカニズムと基本的な直し方について、順を追って見ていきましょう。
まずは焦らず、一つひとつ可能性を潰していくことが大切です。
チカチカする原因と接触不良の確認
照明がチカチカし始めたとき、複雑な故障を疑う前に、まず一番最初に確認してほしいのが「電球の緩み」です。「まさかそんな単純なこと?」と思われるかもしれませんが、実はこれが原因のナンバーワンだと言っても過言ではありません。
なぜ電球は勝手に緩むのか?
電球は毎日、点灯すれば熱を持ち、消灯すれば冷えるという「熱膨張と収縮」を繰り返しています。このわずかな金属の伸縮運動が、長い年月をかけて少しずつネジを緩ませてしまうんですね。
また、近くをトラックが通った際の微細な振動なども影響します。緩んでしまうと、ソケットの金属部分と電球の接点が触れたり離れたりを繰り返し、その瞬間にアーク放電のような小さな火花が散って「チカチカ」と点滅するわけです。
安全な締め直し手順
直し方は非常にシンプルですが、安全第一で行いましょう。
これだけで嘘のように直ることも結構あります。もしそれでも直らない場合は、次に「クロスチェック(入れ替え試験)」を行いましょう。点滅している電球Aを、正常に点灯している別の場所(トイレや廊下など)の器具Bに取り付けてみるんです。
- 場所を変えても点滅する場合:電球Aの寿命や故障です。新しい電球を買いましょう。
- 場所を変えると正常に点く場合:元の器具(ソケット)やスイッチ、配線の方に不具合がある可能性が高いです。
ここがポイント
電球を触るときは、必ず手が濡れていないことを確認してください。また、ソケットの奥にある接点(板バネ)が汚れている場合も接触不良の原因になりますが、ここを掃除する際は必ずブレーカーを落としてから、乾いた布で拭くようにしてください。
スイッチを切っても点滅する理由
「スイッチを切っているのに、数秒おきにピカッと光る」「消灯後も薄暗く光り続けている」。初めてこれを見ると、なんだか不気味で怖いですよね。これは決して心霊現象やポルターガイストではなく、電気の世界では「ゴースト点灯(微点灯)」と呼ばれる、れっきとした物理現象なんです。
ホタルスイッチの仕組みと悪影響
日本の住宅、特に廊下や階段、トイレなどで広く使われているのが「ホタルスイッチ」です。スイッチがOFFの時に、スイッチの場所がわかるように緑や赤の小さなランプが光るタイプですね。便利なんですが、LED電球にとってはこれが厄介な存在になることがあります。
ホタルスイッチは、スイッチをOFFにしている間も、あの小さなランプを光らせるために「微弱な電流(漏れ電流)」を回路に流し続けています。昔の白熱電球なら、この程度の電流ではフィラメントが温まらないので光りませんでした。しかし、LED電球は非常に少ない電力で光るため、この漏れ電流が電球内部のコンデンサに少しずつ溜まっていきます。
そして、コンデンサがいっぱいになると「ピカッ!」と放電して発光し、空になるとまた充電が始まる…これを繰り返すことで、定期的な点滅が発生するのです。
ゴースト点灯の解決策
この現象を止めるには、以下のいずれかの対策が必要です。
- ホタルスイッチ対応のLED電球に交換する:国内メーカー(パナソニックや東芝など)の製品には、この微弱電流を逃がす回路が組み込まれているものがあります。
- スイッチ自体を交換する:ホタルスイッチをやめて、ランプのない「片切りスイッチ」に交換すれば、漏れ電流はなくなります。(※要電気工事士資格)
- 微点灯防止コンデンサを取り付ける:器具側に電流をバイパスさせる部品を追加します。(※要電気工事士資格)
輸入住宅やDIYで取り付けた海外製のLED電球で特に起こりやすいトラブルです。
「故障かな?」と思って何度も電球を買い換える前に、自宅のスイッチが「ホタルスイッチ」かどうかを確認してみてくださいね。
調光器対応LED電球の選び方
リビングや寝室などで、雰囲気に合わせて明るさを調節できる「調光スイッチ(ダイヤル式やスライド式)」を使っているご家庭も多いと思います。もしそこに、スーパーで安売りしていた一般的な「調光非対応」のLED電球を取り付けてしまうと、高い確率で激しい点滅や故障を引き起こします。
なぜ普通のLEDは調光器で点滅するの?
多くの家庭用調光器は「位相制御方式」といって、電気の波形の一部をカットすることで電圧を下げ、白熱電球を暗くする仕組みになっています。しかし、LED電球の中には「LEDドライバ」という精密な電子回路が入っていて、これが入力される電気の波形が欠けていると誤動作を起こしてしまうんです。
具体的には、回路を動かし続けるための「保持電流」という電気が足りなくなり、LEDがついたり消えたりを高速で繰り返してしまいます。これが激しい点滅の正体です。
また、無理に使っていると回路に過度な負担がかかり、「ジー」という異音がしたり、最悪の場合は回路が焼き切れて故障することもあります。
正しい選び方のポイント
調光器がついている回路には、必ずパッケージに「調光器対応」というマークが記載された製品を選んでください。

ただし、「調光器対応」と書かれていても、実は「すべての調光器」に対応しているわけではありません。調光器と電球のメーカーが違うと、相性問題でうまく暗くならなかったり、ちらつきが出たりすることがあります。
もし相性問題が心配な場合は、電球自体に調光機能(リモコンやスマホで操作するタイプ)がついている「スマート電球」を導入し、壁の調光器は常にMAXの状態(または普通のスイッチに交換)で使うというのも一つの賢い解決策ですよ。
寿命が原因で点滅する場合の対処
「LEDは10年持つって聞いたのに、数年で点滅し始めた…」という経験はありませんか?LED電球の寿命は一般的に「約40,000時間」と表記されていますが、これはあくまで発光部分である「LEDチップ(素子)」が光らなくなるまでの理論値なんです。
本当の寿命を決めるのは「電源回路」
実は、電球の根元に入っている「電源回路(LEDドライバ)」の寿命は、もっと短いことが多いのです。特に重要なのが「電解コンデンサ」という部品。この部品の中には電解液という液体が入っていて、点灯時の熱によって少しずつ蒸発(ドライアップ)していきます。
コンデンサが劣化して容量が抜けてくると、家庭用コンセントから来る電気のノイズや波をきれいに平らにできなくなります。その結果、以下のような症状が現れます。
- 点灯直後の不安定さ:スイッチを入れてすぐはチカチカと「呼吸」するように明るさが揺らぎ、数分経って温まると安定する。これはコンデンサ劣化の典型的な初期症状です。
- 細かいちらつき:電源周波数(50Hz/60Hz)のリプル(波)を取り除けなくなり、常に細かく明滅するようになります。
修理はできるの?
残念ながら、内蔵回路のコンデンサ交換などの修理は、一般家庭では不可能です。分解すること自体が非常に危険ですので、こういった症状が出たら「寿命」と割り切って、新しい電球に買い換えるのが一番安全で確実な直し方です。
40,000時間というのは、あくまで「適切な環境で使った場合の最大値」と考えておいたほうが良いでしょう。
点滅を放置すると火事になるか
「たまにチカチカするだけだし、叩けば直るからまだ使えるか」と、点滅する照明をだましだまし使っている方はいませんか?実はそれ、個人的にはあまりおすすめできません。単なる球切れの前兆ならまだ良いのですが、点滅の原因によっては火災のリスクが潜んでいるからです。
危険な点滅のサイン
特に注意が必要なのが、ソケット部分の接触不良や、ホコリが湿気を吸って電気を通してしまう「トラッキング現象」によるショートです。これらが原因でチカチカしている場合、接触部分でアーク放電(火花)が発生しており、高熱を持っています。
- 焦げ臭いにおいがする
- 器具から「ジー」「バリバリ」という音が聞こえる
- 電球の根元やソケットが異常に熱い、変色している
もし点滅に合わせて上記のような兆候が見られる場合は、直ちに使用を中止してください。これは電球交換では直りません。ソケットや配線自体の交換が必要になるため、速やかに電気工事店や管理会社に連絡しましょう。
注意点
ソケットの修理や壁スイッチの交換、配線の変更といった作業は、法律で「電気工事士」の資格が必要と定められています。DIY動画などを見よう見まねで修理しようとすると、感電や漏電火災の原因になり大変危険ですので、絶対にやめましょう。
状況別のLED電球の点滅症状の直し方

ここまでは一般的なお話でしたが、LEDの点滅は「特定のシチュエーション」や「特定の機器」でだけ発生することもあります。ここでは、スマホの画面越しに見えるちらつきや、車、お風呂場など、状況ごとの対策について深掘りしてみます。
高速でパチパチする現象への対策
目ではそこまで気にならないけれど、なんとなく不快な感じがする高速の明滅。あるいは、特定のタイミングで「パチッ」と一瞬暗くなったり点滅したりする現象。これは、家の中にある他の家電製品が原因かもしれません。
電圧降下とノイズの仕業
ドライヤー、電子レンジ、レーザープリンター、エアコンのコンプレッサーなど、消費電力の大きな家電が動き出す瞬間には、一時的に大きな電流が流れ込み、家庭内の電圧が一瞬下がることがあります(電圧降下)。
白熱電球なら一瞬暗くなるだけで済みますが、LED電球のドライバ回路によっては、この電圧低下を「異常」と検知してリセットがかかり、一瞬消灯・点灯を繰り返すことがあります。
LEDストリップの場合、電圧降下は照明の減光や照度ムラ、さらにはLEDの早期故障につながる可能性があります。
SIGNLITEより引用
また、インバーター制御の家電などから出る「高周波ノイズ」が電線を伝ってLED照明に入り込み、誤動作を起こさせることもあります。
家庭でできる対策
- 電源を分ける:照明と同じコンセント(または同じブレーカー回路)で、消費電力の大きな家電を使わないようにします。
- ノイズフィルタの導入:PCや家電の電源に「ノイズフィルタ付きの電源タップ」を使用することで、配線に流れるノイズを軽減できる場合があります。
もし、どの部屋の照明も頻繁にチカチカする場合は、引き込み線や分電盤の接続不良の可能性もあります。この場合は電力会社や電気保安協会への相談が必要です。
スマホカメラでわかるちらつき
Web会議や動画撮影をしていて、画面に黒い横縞(バンド)が入ったり、チカチカしたりした経験はありませんか?これを「フリッカー現象」と呼びます。
肉眼では一定の明るさに見えても、実はLEDは高速で点滅(オン・オフ)を繰り返しているものが多いのです。
ローリングシャッター現象との関係
スマホやデジタルカメラのセンサーは、画面の上から下へ順番に光を読み取っていく「ローリングシャッター」という方式をとっています。この読み取りのスピードと、照明の点滅サイクル(東日本なら1秒間に100回、西日本なら120回)がズレてしまうと、明るい瞬間と暗い瞬間が縞模様となって映像に記録されてしまうんです。
撮影時・購入時の対策
直し方としては、カメラ側の設定を調整するのが基本です。
| 対策 | 内容 |
|---|---|
| カメラ設定 | Androidなどのカメラ設定にある「ちらつき防止(アンチフリッカー)」を、地域の周波数(50Hz/60Hz)またはオートに設定する。 |
| シャッタースピード | マニュアル撮影ができる場合、シャッタースピードを1/100(関東)や1/60・1/120(関西)の倍数に固定する。 |
また、これから照明を買う場合は、「フリッカーレス」や「フリッカーフリー」を謳った製品を選ぶのが最も効果的です。これらは点滅を感じさせない制御方式(定電流方式など)を採用しているため、動画撮影をよくする部屋には最適です。
密閉器具対応モデルで熱を防ぐ
お風呂場の照明や玄関のポーチライト、あるいはガラスカバーで完全に覆われているタイプの照明器具を「密閉器具」といいます。

ここに、手元にあった適当なLED電球を入れたら、すぐに点滅し始めて壊れてしまった…という失敗談は後を絶ちません。
熱はLEDの大敵
LEDは「熱に弱い」という弱点があります。光自体には熱が少ないのですが、根元の回路部分は発光時にかなりの熱を持ちます。密閉器具の中で使うと、この熱が逃げ場を失って器具内部にこもり、電球が高温になります。
すると、安全のために保護回路が働いて点滅(シャットダウン)したり、コンデンサが急速に劣化して故障したりするのです。
パッケージのマークを確認しよう
お風呂場やカバー付きの器具に使う電球を選ぶ際は、必ずパッケージに「密閉器具対応」というマークがあるか確認してください。これらのモデルは放熱設計が強化されており、熱がこもる環境でも耐えられるように作られています。
さらに注意が必要なのが、天井に埋め込まれている「ダウンライト」です。天井裏に断熱材が敷き詰められている場合、熱がさらに逃げにくくなるため、「Sマーク(断熱材施工器具対応)」というさらに厳しい基準をクリアした電球が必要になります。これを間違えると、火災の原因にもなりかねませんので、購入前の確認は必須です。
車のLEDが点滅する場合の対処法
車のルームランプやナンバー灯、ヘッドライトをハロゲンからLEDに交換したときも、点滅トラブル(フラッシング)はよく起こります。特に欧州車(ベンツ、BMWなど)や、最近の国産高級車で顕著です。
犯人は「球切れ警告システム」
最近の車は、ライトが切れていないかを常に監視するコンピュータ(CANバスシステムなど)を搭載しています。ハロゲンランプは消費電力が大きいですが、LEDは非常に省エネです。そのため、単純に交換しただけだと、車側のコンピュータが「電流が全然流れていない!これは球切れだ!」と誤判定してしまうんです。
その結果、警告灯を点灯させたり、安全のためにその回路への電気供給を遮断(またはパルス状に電流を送ってチェック)したりして、ライトが点滅・消灯してしまいます。
キャンセラー対策の注意点
この場合の直し方は、電気の流れをハロゲン電球と同じくらい消費させるための「抵抗(キャンセラー)」を配線に噛ませるのが一般的です。抵抗を入れることで「ちゃんと電気を使っていますよ」と車に認識させるわけです。
ただし、この抵抗器は電気を熱に変えて消費するため、点灯中は非常に高温(100℃以上になることも!)になります。プラスチック部品や配線に触れるように設置すると溶けてしまう恐れがあるので、必ず金属部分に固定するなど、放熱対策をしっかり行う必要があります。
最近は最初から「キャンセラー内蔵」となっているLEDバルブも多いので、初心者の方はそちらを選ぶのが手軽で安心ですね。
パナソニックなど国内製品の強み
いろいろ対策しても直らない、あるいは「電球ごときでこんなに悩みたくない!」という方は、やはり信頼できるメーカー製を選ぶのが解決への最短ルートです。特にパナソニックや東芝ライテックといった国内大手メーカーのLED電球は、日本の住宅事情を徹底的に研究して作られています。
なぜ「日本製」や「大手」が良いのか?
海外製の格安LED電球も魅力的ですが、コストカットのためにノイズフィルタ回路が省略されていたり、耐熱性の低いコンデンサが使われていたりと、見えない部分で差があることが多いです。一方、国内メーカー品は以下のような強みがあります。
例えば、パナソニックの「パルック プレミアX」などは、演色性Ra90を実現しつつ、断熱材施工器具や密閉器具にも完全対応しており、フリッカー対策も万全です。安物を何度も買い換える手間とストレスを考えれば、少し投資してでも高品質なモデルを選んだほうが、結果的に長く快適に使えると私は感じています。
(出典:一般社団法人 日本照明工業会『LED照明器具の安全確保のために』)
LED電球の点滅直し方と解決策
今回は、LED電球が点滅する原因と直し方について、かなり詳しく解説してきました。最後に改めて、トラブルシューティングの要点を振り返ってみましょう。
- まずは電球が冷えている状態で「締め直し」を行い、それでもダメなら「別の場所の電球と入れ替え」て原因が電球か器具かを特定する。
- スイッチOFFでも点く場合は「ゴースト点灯」を疑い、ホタルスイッチ対応電球を検討する。
- 調光器や密閉器具、断熱材施工器具には、必ずパッケージに対応マークがある製品を使用する。
- 「焦げ臭い」「異音がする」などの異常がある場合は、火災の危険があるためすぐに使用を中止し、電気工事店へ相談する。
照明のトラブルは、毎日の生活の質に直結します。「たかが電球の点滅」と放置せず、早めに対処することで、目の疲れや予期せぬ事故を防ぐことができます。この記事が、みなさんの家の明かりのトラブル解消に少しでも役立ち、快適な「光」のある生活を取り戻す手助けになれば本当に嬉しいです。

